「羊と鋼の森」主人公と重なる役者・山崎賢人『芝居を通して僕の思いもぶつけた』

2018/06/07 19:15 配信

映画

若きピアノの調律師・外村直樹が北海道の雄大な自然を背景に成長していく姿を描き出した、第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説「羊と鋼の森」。映画化に際して、外村を等身大の役柄として演じたのが山崎賢人である。

6月8日(金)公開の映画「羊と鋼の森」で主人公・外村直樹を演じた山崎賢人撮影=山田大輔


――主人公・外村を演じるために、どんな役作りをしましたか?

衣装合わせや本読みのとき、橋本(光二郎)監督が「外村は豊かな自然に囲まれた静かな場所で育った人だから、自然に対する感覚が研ぎ澄まされている」と。僕も原作を読んで「外村らしさって何だろう?」と考えていました。監督の言う通り、外村は自然に対する感覚が研ぎ澄まされている。でも、自分には才能も何もないとも思っている。そこは僕に近いなと。しかも、年齢が近い。仕事という点でも調律師と役者は重なる部分が多い。そこは外村を演じる上で意識していたと思います。

――撮影前には、調律の技術を学ぶ時間もあったと思いますが、印象に残っていることは?

鍵盤をたたいたり、ハンマーを使ったりして、弦の緩みを確かめながら、ピアノの音は合わせていきます。その作業がとても細かいんですよね。それをほとんど知識のないところから理解して、映像の中でどう表現していくか。僕が大切にしたのは、とにかく音を聴くことでした。

山崎は「外村が調律に悩んでいたように僕も芝居に難しさを感じていた時期でした」と振り返る(C)2018「羊と鋼の森」製作委員会


――聴くことに集中し過ぎて、混乱した時期もあったんじゃないですか?

ありましたね(笑)。クランクイン前に、北海道のペンションで調律の先生と3泊4日の合宿をしたんですけど、音は高くても低くても波を打つんです。その波が静かになって、一本の線のようになると音が合う。ただ、僕が合ったと思っても、「まだちょっと高いね」と言われる。それでも、音が合う瞬間はあったんですよ。でも、僕自身は合ったと思ってなくて(笑)。そのラインが難しかったです。半年程度の練習で調律出来るようになる方がおかしいですけど。しかも、調律は音を合わせてからが本当の仕事です。暖かい音や伸びやかな音にするとか。調律するたびに、その奥深さを感じていました。