「羊と鋼の森」主人公と重なる役者・山崎賢人『芝居を通して僕の思いもぶつけた』

2018/06/07 19:15 配信

映画

撮影前は「北海道で調律の先生と3泊4日の合宿をした」という(C)2018「羊と鋼の森」製作委員会


――合宿中は、ずっと調律の練習をしていたんですか?

調律の練習でしたね。何もなかったですから(笑)。でも、朝起きるとペンションのおじさんとおばさんが用意してくれたあったかい洋食を食べて、コーヒーを飲みながら外の雪景色を眺めて、「じゃあ、もうちょっとしたら始めようか」という具合でしたけど。寝るときなんて無音に近い状態でしたね。北海道の暖房はとても静かなんです。だから、毎日熟睡でした(笑)。

――その合宿は、外村を演じる上でとても大きかったようですね?

本当に大きかったです。外村としての五感が研ぎ澄まされたと思います。あんなに自然の音を敏感に聴いたのは保育園以来じゃないですか。子どものころは、ちょっとした音でも「風であの葉っぱが揺れて、音が鳴ってる」と感じていたのに、今はもう「天気が悪いから木が揺れてるだけだよ」ぐらいの思いしかなくなっていますから。

山崎は先輩俳優との共演に「『どうしたらお芝居が上手くなりますか?』と尋ねる感覚だった」という(C)2018「羊と鋼の森」製作委員会


――全体的に落ち着いたトーンの作品ですが、撮影現場の雰囲気は?

皆さん明るくて、凄く楽しい現場でしたよ。

――演じながら、外村と自分自身の共通点は見つけられましたか?

この作品を撮っているころ、外村が調律に悩んでいたように僕も芝居に難しさを感じていた時期でした。だったら、その思いをそのまま芝居に出そうと思って。外村の先輩である柳さんの(鈴木)亮平さん、秋野さんの光石(研)さん、そして板鳥さんを演じた三浦友和さんに直接、芝居の相談をすることはなかっ…、ありましたね(笑)。でも、芝居を通して僕の思いもぶつけることもあって。例えば、板鳥さんに外村が「どうすれば、上手く調律出来ますか?」と尋ねるシーンとか。僕は三浦友和さんに、「どうしたら、お芝居が上手くなりますか?」と尋ねる感覚だったと思います。それは亮平さんや光石さんに対しても同じ。皆さん、年齢もこれまでの経験も違うじゃないですか。それぞれのたたずまいや人柄もあって、あの現場で芝居が出来るだけでも贅沢で刺激的でした。