6月17日(日)放送の大河ドラマ「西郷どん」(夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で「寺田屋騒動」が描かれた。
この事件で壮絶な死をとげる人物が、増田修一朗演じる有馬新七だ。
主人公の西郷吉之助(鈴木亮平)や大久保一蔵(瑛太)らの幼なじみである有馬は、吉之助たちの優しい兄貴分。
薩摩隼人らしい情熱で真っすぐに突き進んだすえに、過激な攘夷運動(じょういうんどう)に関わり、命を燃やしていく有馬の心境を、増田はどう演じたのか。郷中の仲間たちへの思いや、衝撃的な「寺田屋騒動」シーンの撮影でのエピソードなどを聞いた。
――4年ぶりの大河ドラマ出演ですが、出演が決まったときはどのように思いましたか?
オーディションを受けたときには「どっかの役に引っかかればいいな」くらいに思っていたので、有馬役に決まったときには少し驚きましたが、うれしかったです。
約1年ほどの長丁場の撮影になることを覚悟しました。役者人生において、大河ドラマ以外でこんなに長い期間同じ役を演じることもないですし、劇中で約20歳ほど成長するのも初めてだったので、楽しみにしていました。
プレッシャーなどはあまりなくて、それよりも「やってやろう!」という挑戦者の気持ちでした。
でも、初日の台本の読み合わせのときには、なんで僕がここにいるんだろうとも思いました。今でも、なぜ僕が新七役に選ばれたんだろうとも思いますが、役者人生においては大きなチャンスだと思っているので、自分自身に期待して撮影に臨みました。
――役作りはどのようにしていきましたか?
有馬新七という人物の歴史を調べていくと、頭が切れる策士で、かつ剣術にも長けている、文武両道な人という印象を受けました。
ただ、「西郷どん」では、その頭の良さは表現せずに、武の部分や薩摩隼人らしい、真っすぐに感情に従ってしまう、危うい人物像を演じようと思っていました。
――有馬は、38歳で命を落とす人物ですが、増田さんも現在37歳ということで、役に対して共感する点もあったんでしょうか?
僕もどちらかというと直感型で、曲がったことが嫌いなので、共感できる部分はたくさんありました。
今の時代だと38歳で命を落とすことはとても早いですが、当時では当たり前のようにあったことだと思うんです。
寺田屋騒動のシーンを演じてみて、有馬は(国政の改善のため)いろんな策を練っていたんだけど、うまくいかず、そのけじめとして…自分の死に場所を見つけていたんだろうなと思ったんです。
自分が犠牲になることで、自分の目標を継ぐ人が出てきて、世の中が変わるきっかけになると思って命を落としたんではないかと考えて、あのシーンを演じました。
――有馬は、自ら寺田屋騒動を望んでいたということですか?
「これでいいのか」と迷う気持ちと、誰かがやらなければという気持ちの間で揺れていたんではないでしょうか。
お互いの親きょうだいのことも知っていて、幼いころにはみんなで川で遊んでいたような人同士が斬り合うシーンなので、ピリピリとした緊迫感や緊張感だけではなく、「こんなことしてもいいのか」という揺れる気持ちを表しました。
“有馬が死ぬ”ということ以上に、同士討ちの悲劇がどうして起きてしまったのかということを描けたと思っています。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)