――寺田屋騒動のシーンの撮影現場の雰囲気はどうでしたか?
どういう感情になるかということは、本番に取っておきたいと思っていました。みんなと長い間一緒に芝居をしてきたので、頭で考えなくても必ず感情がついてくるだろうと、リハーサルではあまり考えずにいました。
本番の撮影では、その場にいた大山格之助(北村有起哉)と西郷信吾(錦戸亮)だけではなく、瞬間的に(精忠組の)みんなの顔が浮かんで、いろんな思いがワーッとあふれてきました。
せりふでは「吉之助、すまん」と言うんですが、あのせりふはみんなに対しての思いでした。
寺田屋騒動については、さまざまなドラマで激しいアクションの見せ場として描かれているような気がするんです。でも「西郷どん」の描き方は、もっと感情の動きを重視していると思います。
――精忠組の仲間たちとの撮影が終えられたそうですが、今の心境はいかがですか?
純粋に寂しいですし、最後までみんなと演技をしていたいとは思います。でももうこれは史実で、変えられないことですし、寺田屋騒動のシーンが来ることはずっと分かっていたことなので、あとは「みんな任せた」という気持ちですね。
でも、僕の思いがどこかに残せていたらいいなと思います。まぁ第40回くらいになったらみんな忘れてしまうのかな(笑)。
精忠組は、みんなが演じている役と共通している部分があるので、みんなで休憩時間に話したり、同じジムに集まって筋トレしたり、一緒にご飯を食べている時間が自然と役作りになっているんです。
このメンバーに入れることをうらやましがっている役者さんたくさんいると思いますし、そんな時間を過ごせなくなるのはすごく寂しいですね。
村田新八を演じている堀井新太くんは、僕が最後のシーンを撮影する2カ月くらい前から「増田さん…寂しいな~」って言ってたんです(笑)。逆に早くいなくなってほしいのかな? と思うくらいでしたよ。
――第22回(6月10日放送)では、吉之助と一蔵の二人とそれぞれ一対一で向き合うシーンがありましたが、どのように演じましたか?
二人とのシーンは、台本通りにはいかなかったです。
一蔵とのシーンでは、台本上は土下座する一蔵に対して、僕が立ったまま話すということになっていたんです。でも実際に撮影に入ったら違う感情が出てきて、僕も一蔵と同じ目線で話して、お兄ちゃんが弟に語り掛けるような姿に見せるようにしました。
吉之助とのシーンも、台本上では緊張感が高まっていって終わるんですが、演出の方と相談して、有馬が本心を見せたようなシーンに変えていただきました。
一蔵や吉之助と一対一で向き合うシーンは、今まであまりなかったんですよね。年上で兄貴肌な有馬の優しさを見せられればいいなと思って演じました。
――今後、この「西郷どん」での経験を生かして演じてみたい役はありますか?
精忠組のみんなとどこかで共演したいです。
あとは、せっかく薩摩ことばを習得したので、いつかまた使ってみたいです(笑)。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)