――寺田屋騒動が描かれた6月17日放送の第23回は、精忠組同士の絆を見せるシーンも多かったと思います。撮影のご感想はいかがでしたか?
幼いころのような楽しい時間もあって、寺田屋騒動で精忠組の有馬新七(増田修一朗)が亡くなって、人生のいろんな要素が表現されていると思いました。
本当に楽しいことがあったあとに、ものすごい悲しいことがあったり、それこそが人生なんですよね。
――吉之助が捕縛される前に、精忠組のみんなでウナギを捕るシーンは、どのような気持ちで撮影されましたか?
楽しいのに切なかったです。みんなが激動の時代の中で背負っているものがあるにも関わらず、ウナギを捕って、笑って、とにかくこの一瞬を楽しもうという姿勢でいました。
みんなが子供時代に戻ってウナギを捕っているんですが、これからの精忠組がどうなってしまうのかという葛藤もあるので、楽しいシーンですが、悲しさもありました。
人の“生き死に”というものは、ターニングポイントになるところだと思うんです。寺田屋騒動で昔から知っていた有馬が亡くなってしまった。それによって、精忠組のそれぞれが死を意識して、自分の考え方をもう一度見つめ直したと思います。
――海江田は「桜田門外の変」で弟2人を亡くしてしまった人物ですよね。海江田にとっては、その弟たちの死もターニングポイントになっているんでしょうか。
そうですね。「桜田門外の変」で、弟たちが処罰される前まではもっと過激派な人物だったと思います。だから、海江田が有馬のような行動に出ていてもおかしくなかったと思うんです。でも、弟たちが死んでしまったことで、海江田は生きようとしている。
生きることに執着しているような気がしますし、海江田の人生観はあの事件で形成されたんではないでしょうか。考え方を変えられる、大きな出来事だったと思いますね。
――生麦事件では、海江田の行動が日本を揺るがす出来事になります。どのような思いで演じましたか?
生麦事件は、幕府は海外に対して逃げ腰だけど「薩摩の俺たちは対抗してやるんだ」と考えたからこその行動だったと思います。だから、過激派の人々の中では「よくやった」と言われる一件だったんではないでしょうか。
大名行列を乱すような外国人の礼節のなさに対する怒りが、あの事件には表れていたのかなと思います。
当然、海江田もリチャードソンを刺してしまったらどうなるかということは分かっていたと思うんです。それでも、海江田が自分の思想を持って、覚悟を決めて起こした行動だと思っているので、僕は格好いいなと思いました。
だからこそ最後、リチャードソンを残忍に刺し殺すのではなく、武士として相手に礼節を持って、とどめを刺すという演技をしました。
――奄美大島、沖永良部島と2度の島流しから帰って来た吉之助との関係性は、変わった部分もあったんでしょうか?
距離感は変わったかなと思います。帰ってきた吉之助は、僕たちに思い出話をするのではなく、すぐに「この国の現状を変えなくてはいけない」という話をし始めるんです。その場面では、吉之助は本当に常に人のことを考えていて、人のことでしか動かないんだなと感じました。島流しされる前もつかみどころのない人でしたが、さらに理解ができないくらい高い志を持つようになった気がします。
海江田は、生麦事件を起こしてしまった自分を吉之助は容認していなくて、会ったときには責められるだろうと考えていたんです。でも、吉之助がその全てを飲み込んで、もう先に進んでいたので、会ってから一瞬で、帰ってきた吉之助に対して尊敬の念を抱いたと思います。
――今後さまざまな人物が登場してきます。高橋さんが注目しているのは誰でしょうか?
坂本龍馬は、今までに登場してきた人たちとはスケールが違うように感じます。そんな坂本龍馬を演じる人物が、小栗旬さんになったことにはわくわくしました。
常に新しいものを探している坂本龍馬と、小栗さんの生き様がなんだかリンクしているような気がするんです。
視聴者の皆さん同様だと思いますが、早く見たいなと思いますね。
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