「創作は、物語を作ることは自分自身を救うんだ」と秋風は言う。「東京・胸騒ぎ編」で描かれた約9年間は鈴愛にとって、律とのすれ違いの苦しみを作品に昇華させようと挑んだ時間だった。
19歳の七夕に経験した別れをきっかけに「月が屋根に隠れる」という作品のアイデアを構想し、1年かけてブラッシュアップ。結局、アイデアをこねくり回した末にあきらめてしまうが、今度は律のプロポーズを断ったことへの後悔から「いつか君に会える」という作品のアイデアを構想した。
しかし、「いつか君に会える」も締め切りには間に合わなかった。そして、秋風が“代わりの原稿”として描き上げたのは、かつて鈴愛があきらめた「月が屋根に隠れる」だった。19歳当時の鈴愛の思いは秋風によって美しい作品に昇華され、鈴愛は漫画家を辞めた。
ドラマでは、新たなステージ「人生・怒涛編」がスタート。鈴愛は映画監督を目指す青年・涼次(間宮祥太朗)と急接近する。
このまま鈴愛と律の関係は終わってしまうのか?北川氏は「半分、青い。」のスタート時、「恋愛を超越した何かによって結ばれている2人を描きたい」と語っている。2人は、その“恋愛を超越した何か”に名前をつけることができるのだろうか。鈴愛と律の19歳時を最後に、劇中では9年間描かれていない「7月7日」を迎えても、2人の行く末は見えないままだ。
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