――ここからはおひとりずつ名場面の裏話を教えていただければと思います。第2話、天空不動産の屋上で部長と牧が春田を取り合ってケンカするシーンはどうでしたか?
山本:僕はもう「好きにやってください」と言ったのみだったんですが、部長と牧が言い合いを始めたら盛り上がっちゃって、圭さんが止めるのも本気でやらないと止まらないぐらい(笑)。最後に部長が「仕事に戻るぞ!」と言った後も、本番では鋼太郎さんが上着を脱いでバーンと地面に投げつけ、そのまま帰っちゃった。遣都くんがその上着を拾ってもう一回バーンと投げつけて、圭さんがオロオロしながら上着を拾うという…。尺の都合で泣く泣くカットしたんですけど、それぐらい盛り上がっていました。
――第2話ラスト、公園で牧が春田のおでこにキスをする“でこチュー”シーンは、美しい映像が好評でした。
山本:あの場面はちょっと凝って撮りました。脚本があえてベタな少女漫画のような作りになっていたので、映像もベタベタにと思って(笑)。キスしたとき強いライトが当たってシルエットになるのは芝居の流れとは別に撮り、キラキラ感を意識しましたね。若い美男美女がやるようなラブシーンを男性同士で真剣にやるからこそ、いいんじゃないか…と。反響を見たら、恋愛ドラマとしてときめいていただけたようで、うれしかったです。
――第6話は、職場でのカミングアウト、牧の実家へのあいさつ、そして、牧が春田に「別れましょう」という場面など盛りだくさんですが、別れる場面はどのように撮影したのですか?
Yuki:第6話の台本をもらったとき、興奮すると同時に半端ないプレッシャーを感じました。世間でドラマが注目されているのも感じていた頃ですし、「これはテレビ史に残る回になるぞ」と思いました。本当に見どころがたくさんあるんですが、やはりラストの別れのシーンは勝負だなと…。ここを最上級にせつなくして最終話にバトンを渡さないといけない。
撮影前日、遣都くんに「牧と春田それぞれワンカットの長回しで行くから、どちらが先がいい?」って聞いたら、答えは「圭くんならきっと僕を先に撮ってくれと言ってくれると思います」。それを受けて圭さんに、「ワンカットで遣都くんから撮るから」と告げたら「もちろん当然でしょう」と言ってくれましたね。やっぱり、あの場面は牧が泣きながら言ったことを春田が受ける場面だから、遣都くんを集中させたかった。結果本番で遣都くんは、みんなの思いに応えてあの素晴らしい演技を生み出してくれたので、圭さんは台本にはなかったけれど、もう自然に涙が出てきた感じでした。
お恥ずかしいんですが、僕もプロとして失格だなと思いながら泣いてしまって、カットをかけて背後を振り返ったら、スタッフがみんな泣いていた。圭さんと遣都くんも「全てを出し切った」という感じでいい顔していました。
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