――「西郷どん」で描かれている龍馬像についてはどのように思いますか?
(8月19日[日]放送の第31回の)吉之助の家の雨漏りを一緒に直すシーンは他のドラマではあまり描かれてこなかった部分だと思います。
「革命を起こそう!」という行動とは関係のない日常が描かれていて、その中にいる坂本龍馬を出せたのは面白いんじゃないでしょうか。
龍馬は柔軟性がすごくあった人だと思うんです。僕もそうでありたいと思ってはいるんですけど、柔軟であることって難しいですからね。特に幕末という時代に、柔軟さを持つということは、やっぱりすごいなと思います。
今回、僕の演じている坂本龍馬は、彼の成し遂げた大きな功績はそんな描かれていません。
でも、「何だかよく分からないけど動いているっぽいな」ということを西郷さんが感じているだけなんですよね。それはすごく面白いなと思います。
――亮平さんの演じている吉之助についてはどのように思いますか?
本当に大変そうです。
平日はリハーサルして撮影して、また休日になったら薩摩ことばを確認しながらせりふを覚えるって、ちょっと僕には難しそうだなと思います。
今回、僕も参加してみて思ったことは、方言に頭がいってしまうと芝居がおろそかになってしまうんです。
「ここは気持ちでいこう」と演技をしてみると、方言が間違っていると注意されてしまって、「ダメだな、俺」って思ったりします。
(龍馬が使う)土佐ことばって、基本のベースが関西なんです。僕は東京出身でまったく方言がないので、すごく難しいんですよね。
――鈴木さんとの共演には感慨深い思いもありますか?
亮平くんとは24歳くらいの時に知り合ったので、もう干支一周くらい知っているんですよ。
あの時一緒にお芝居していた人が、大河ドラマの主役ど真ん中をやっているので、人生分からないものだなと思います。
この撮影を1年間以上やっているということはとてつもなく尊敬します。
僕も、「主演をいつかやれたら…」と思いますけど、その話がきたら考えちゃいますね。多分、半年が限界だな(笑)。本当に思っている以上にきついことだと思います。
それを亮平くんは1年以上やっているんですよね。それだけ長い期間役をやっているということはすごいやりがいはあると思うんです。
ただ、出口の見えないトンネルをひたすら走っているような状態がしばらく続くと思うんですよね。そうしたら不安になるだろうし、苦しくて自分を見失ってしまう瞬間も来ると思うので、全てやり切ったときの達成感やそのとき自分に返ってくるものは大きいと思います。
だからこそ、それをやると決めた鈴木くんを尊敬します。鈴木くんだけじゃなく、過去に大河ドラマの主役を演じてきた人はみんなすごいと思います。
――大河ドラマ出演が7度目の小栗さんにとって、「西郷どん」の現場に違いを感じる点はありますか?
「西郷どん」は、最初から役者にゆだねられている部分が多くて、そこからキャラクターを作っていくので、それは今までと違うなと感じました。
現場に入ってみたら、亮平くんを中心に俳優同士がディスカッションをよくします。実際に僕も亮平くんとのシーンで気になったところは、2人で話し合いました。
それぞれが意見を持って討論ができるので、いい関係性を作っている現場なんだなと思います。
亮平くんが意識してそういうふうにしていこうとしているんだと思います。
――小栗さんも大河ドラマの主演を期待されていますよね。
ありがたいことに、「(主演)そろそろなんじゃないの?」って言われることも増えてきたので、そう言ってもらえている間に、できないといけないなとも思うんです。
ただ、今回の「西郷どん」に参加して思うんですけど、僕は大して芝居がうまくないんですよ。
だから、3カ月くらい見るにはちょうどいい俳優だと思うんです。
1年くらい同じ役で見ていると「あれ…?」って期待外れに思われてしまいそうなので、できればポイントで出させていただきたい、と意外と最近よく考えています(笑)。
結局、僕らの演技や芝居は、うまい、へたということが重要ではなくて、そのキャラクターで“どう”あるか、どんな人物像を作っていけるかということが大切だと思うんです。
魅力的に映るのって、洞察力があったり、普通の人が感じない心の“ひだ”を動かすことができた人だと思うんですよね。
それがうまくいったときに、僕の演技も「良かった」と言っていただけるのかなと思いますが、僕はぼんやりしているので、もう少し頑張らなきゃなと思います(笑)。
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