【二宮和也インタビュー】最も強く残ってるのは“俺、今、木村拓哉と一緒にやってる”って喜びだった

木村拓哉、二宮和也ほか、名役者がこれでもかというぐらいそろった映画「検察側の罪人」が8/24金に公開。強盗殺人事件が発生し、複数浮かんだ被疑者の中に、過去に未解決で時効を迎えた殺人事件の重要参考人だった男がいることが判明する。その男を執拗に追い詰めようとする検察官・最上（木村）と、最上の捜査方針に疑問を持つ検察官・沖野（二宮）が対立していく姿を描く。沖野を演じた二宮が、撮影を振り返った。

「撮影では、僕は、リハーサルで根幹を突き詰めるみたいなことをしないタイプだから、皆さんのリハーサルを見てました。原田（眞人）監督も、俺がそういうやり方なんだって気付いて、そっとしておいてくれましたね（笑）。現場でも、必要なハンドリングはしてもらいながら、あとは俺の好きにやらせていただきました。それ以外の時間は監督とずっと世間話をしていました（笑）。俺と話してる最中に何か気になるとげきを飛ばしに行くんだけど、また何事もなかったように戻ってきて、世間話の続きをしていましたね（笑）」

　事前に役の根幹は突き詰めないと二宮は言うが、沖野（二宮）が過去の事件で重要参考人でもあった被疑者・松倉（酒向芳）を追い込む取調室。息もできないほどの圧巻の迫力シーンとなっている。松倉と向かい合っての長いやりとりも、二宮は現場で作ったという。

「それは酒向さんが素晴らしかったからです。怒ってぶつかっていく側の俺を受け取ってくれる側があんなにすごい方だと、当然ちゃんと狂気的なシーンになる。俺、ビジュアル的にも、酒向さんみたいに独特のものを放ってらっしゃる方、そもそも大好きなんですよ（笑）。そういう年上の役者さんに攻め込みたいんです。だから、目の前にしたら無限にやれます（笑）」

　現場で相手の息や出方をつかみ、それを最大限に生かす戦法だ。

「取調室のテストのときかな？ 酒向さん演じる松倉が、口をパカパカ鳴らして取調官をバカにしたのが、面白くてしょうがなくて。これ、俺も絶対やろうと思った。バカにした相手が、同じことする。絶対やってやろうって。そんなこと台本には書いてないんです。でも酒向さん、そういうことやる方なんです（笑）。松倉というキャラクターから生まれた、“この検察官をバカにしてやろう。こっちが上だよ”と口パカパカが狂気過ぎて。すごいことする人だなぁってニヤニヤしちゃいましたよ（笑）。だったら俺もこうしてやろうって思わせてくれるものをすごく置いてくださる方でした。キャラクターから派生したものを俺が受け取り、俺がさらに投げ掛け、受け止めてもらう。感覚的にはいくらでもできそうだったけど（笑）、まぁ5回が限界ってシーンだったかな。楽しかったです」