──そんな中で、櫻井さんにとってターニングポイントと呼べる作品を挙げるとすると?
「やっぱり『マッサン』でしょうかね。日本語が話せないシャーロット・ケイト・フォックスさんをオーディションでヒロインに決めたときは、周りからさんざん『ムチャだろ』と言われましたけど、僕は確信を持って彼女で勝負したいと思いました。彼女に最初に会ったときに、日本に初めてやって来たヒロインとシンクロする“強さ”を感じたんですよ。実際、シャーロットさんは本当に頑張ってくれて、『彼女がこんなに頑張っているのに、自分たちが甘えたことは言ってられないぞ』というスタッフの気持ちが、ドラマを引っ張っていったような気がしますね。そのチームワークは朝ドラならではと思ったし、僕らの想定を超える作品になったと思います。ハイボールが流行るなんていう社会現象も起こりましたし、その年の『(第65回NHK)紅白歌合戦』(2014年NHK総合ほか)で中島みゆきさんが(ドラマ主題歌の)『麦の唄』を歌ったときは、舞台裏で見守ってたんですけど、『マッサン』のスタッフ全員が泣いてましたね」
──では最後に、今後はどんなドラマをお作りになりたいですか?
「うーん、今は何も考えられないです。『西郷どん』で一回燃え尽きるでしょうね(笑)。『マッサン』のときもそうでしたからね。企画の立ち上げから考えたら、誕生日を3回迎えるくらいの長丁場で、スタッフともみくちゃな毎日が続きましたから、終わった後はちょっと呆けてたんですよ。その意味では、この『西郷どん』も、むしろ燃え尽きられるくらいの作品にしなければダメだと思っています」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)