――8月26日(日)放送の第32回では、薩長同盟のシーンが描かれます。撮影の前に、共演者の皆さんと話し合いもされましたか?
リハーサルの時に、このシーンが「きれいに収まってしまうのは嫌だよね」っていう話し合いをしました。
薩長同盟という史実上の出来事は、視聴者の方々はみんなが知っていると思うんです。
その中でも、僕たちがどのような道筋をたどってそこまでたどり着くのかという部分を見ていただきたいなと思ったので、僕たちが右に入ったり左に入ったりして、揺さぶらせながら、あのシーンを作り上げていきました。
――どのような点を意識して演じましたか?
薩摩の長州に対する思いは、海江田(高橋光臣)たちなどが表現していますが、長州の薩摩に対する恨みや辛みは、僕しか表す人がいないので、たとえ卑屈に見えても、憎しみの感情を強めに出していこうと考えていました。
それくらいじゃないと、薩摩と長州が対等に見えないですし、薩長同盟まで行く物語の流れの中で、長州の分が悪くなるんじゃないのかなと思っていたんです。
長州の人が薩摩の文字を草履に書いて踏みつけていたという話まで残っているほどに、憎しみ合っていた藩同士が、薩長同盟で手を取り合うのは、見ていて痛々しくなるような空気にもなっていたんじゃないでしょうか。
薩長同盟は、男臭さも意識しつつ、いつ破綻するか分からなくて、糸を張ったような緊張感が漂ういいシーンになったと思います。
――共演歴も多い小栗旬さんが演じている坂本龍馬については、どのように思われますか?
旬と僕が初めてお仕事をしたのは、彼が19歳の時だったんです。
そこから、彼がスター街道をまっしぐらに走っているところも見ていて、プライベートでもよく一緒にご飯に入ったり、酒を酌み交わしたりしていました。
「西郷どん」の撮影に入る前に、亮平くんを旬から紹介してもらって、みんなで居酒屋でべろべろに酔っぱらった思い出があるんですけど、今思えば不思議ですよね(笑)。
旬の坂本龍馬は、セクシーで愛嬌があって、すごくはまっています。
現代的な発想を持っていたり、鋭いナイフのようなひらめきがある部分が坂本龍馬の魅力だと思うので、龍馬が来ると「何かが起こる」と思わせるような雰囲気を、彼がすごくうまく表現されていると思います。
――玉山さんにとって、桂小五郎役には何か縁を感じる部分もあるんでしょうか?
「八重の桜」では、(長州藩と敵対していた)会津藩の人物を演じていたので、桂小五郎役のオファーが来た時には、「おお~」とちょっと困惑しました。
ただ、この「西郷どん」は制作統括を(連続テレビ小説)「マッサン」(2014~2015年)の櫻井賢さんが務めていらっしゃって。
今でも町中で「マッサンだ!」と言われることがありますし、視聴者の方にも印象的だったのかなと思うので、僕は「マッサン」に出合えたことにすごく感謝しているんです。
だから櫻井さんにはすごく恩を感じていて、「マッサン」が終わってからの4年間の僕の成長を見てほしいと思ったんです。
正直、櫻井さんが制作統括じゃなかったら桂小五郎役を受けていなかったでしょうし、桂に対して向き合うエネルギーが沸いてこなかったと思います。今回の役に対しては意気込んでいます!
僕が桂を演じることって、会津の人にとっては裏切り者のようにも思われますよね。櫻井さんのせいで3年くらいは会津に足を踏み入れられないかもしれないです…(笑)。
でも、それは僕たち役者が背負っている宿命なので、「八重の桜」を見ていた会津の方々にも「さすがだな」と思っていただけるような演技をしたいです。
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