阿部サダヲが主演、吉岡里帆がヒロインを務める映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」が、10月12日(金)に全国公開。
ドラマ「時効警察」(2006年ほか、テレビ朝日系)シリーズで知られる三木聡が監督・脚本を務める本作は、驚異の歌声を持つ一方、“声帯ドーピング”というオキテ破りな秘密を抱えるロックスターのシン(阿部)と、声が小さく何事にも逃げ腰なストリートミュージシャンのふうか(吉岡)という対照的な2人の歌声が出会ったことで起こるミラクルを描いた、ハイテンション・ロック・コメディーだ。
今回、シンのレコード会社の担当者・坂口を演じる千葉雄大にインタビュー。個性的な役柄や共演の阿部や吉岡、本作の見どころについて聞いた。
――オファーを受けた時の心境は?
三木監督が手掛けた、音楽を軸にした映画ということですごく興味がありましたし、何よりハイテンションな映画は今までオファーがなかったので、呼んでいただけてうれしかったですね。
不安はなく、すごく楽しみで、何でもしてくれっていう感じでした。
――演じる坂口は一筋縄ではいかない腹黒い役どころ。台本を読んだ時に、どういう面を見せたいなどはありましたか?
今回は、現場に入る前に監督と話したり、リハーサルがあったりしたので、役を膨らませて現場に臨めました。
コロコロと手のひらを返すような役ですが、個人的にはその中にも軸があるといいなと思っていて。腰ぎんちゃくみたいにいろんなところでヘコヘコ付いていくのも作戦で、実は「野心家」という軸を作っていたので、そこはぶれてるとは感じずに、思い切りやれました。
――坂口はご自身に通じているところもありますか?
手のひらで転がすところや野心家なところなど、少なからず自分にもそういう面はあるのかなと思いますね(苦笑)。
この仕事をしていて思うのは、型にはめられてしまうと、つまらなくなったり、息苦しくなったりする。それをいい具合にぶち壊したいという思いはあるので、そこは今回、役に立ったかもしれないです。
――いや、本当に個性的な役でしたよね。
そうですね。役柄が多面的で面白かったですし、それに付属して、ピザまみれになったり、なまずが降ってきたり、下着姿になったり、いろいろな“オプション”があって(笑)。
衣装合わせから面白くて、そういうことがいっぱいあったのはうれしかったです。
――すごく体を張られていますが、一番印象に残っているシーンは?
田中(哲司)さんから追い詰められるところですかね(笑)。現場では、バスローブを着ていたのですが、そうすると急にセクシーさが出て(笑)。照明もミステリアスな感じで、面白かったです。
あと最初は坂口がいやいやみたいな感じでやっていたんですけど、受け入れたらどうなるのかなとだんだん思ってきて。
そう演じたら、最終的に受け入れる形がOKになったんです。やりたい方にやれたので、すごく楽しかったですね。
――そういうシーンは役者として殻を破った瞬間だったりするのでしょうか?
個人的に殻を破ったシーンというのは、あんまりないんです。恐らく殻だと思われていたんだろうなっていうのは、感じますが…。
三木監督から「本当にこれ大丈夫?」と度々言われたんですが、「本当に大丈夫です。気を使わないでください」という感じで。
僕的にはやりたいと思っていたので、殻を破ったというよりは、そういう機会を頂けてうれしいという気持ちが強かったです。
その姿を見て、「こういうのもやってんだ」って面白がってくる人がいたらうれしいですね。
――三木監督が、「坂口は狂言回しとして変化することで、周りのしっちゃかめっちゃ かな感じがちゃんと筋が通って見えてくるという大事な役。千葉さんが期待以上に応えて演じてくださった」と賛辞の言葉をおくっていました。
試写後に、監督から「ストーリーテラー的な役を担っていただいていて」とおっしゃっていただきましたが、演じているときはそういうふうに感じていなくて。
メークや扮装とかもそうなんですけど、今回の作品は、みんながすごく振り切ってる。僕も振り切っていたつもりで演じていたのですが、またちょっと役割が違ったのかもしれないですね。
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