「いだてん」ポスター解禁!横尾忠則氏がこだわり明かす『他の人に依頼されなくてよかった』

2018/12/13 12:00 配信

ドラマ

中村勘九郎が何人も!「いだてん」ポスタービジュアル解禁(C)NHK

2019年1月6日(日)から放送される大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の、横尾忠則氏がデザインしたポスターカットが公開された。

宮藤官九郎がオリジナル脚本で描く本作。1912年に日本が初めて参加したオリンピックに出場した男・金栗四三(中村勘九郎)と、1964年の東京オリンピック招致に奔走した男・田畑政治(阿部サダヲ)という2人の主人公の半生をリレー形式で描いていく。

勘九郎が走る姿を幾重にも重ねた、現代的なデザインのポスターをデザインした横尾氏は、どのように本作を見詰めているのか。インタビューを行い、ポスター制作に込めた思いや、俳優としての勘九郎の魅力などを聞いた。

「これは僕のテーマだ」と思いました


――「いだてん」の題字とポスターデザインのオファーがあった時は、どのように思いましたか?

僕の職業はそういうものなので、驚きはしなかったですよ(笑)。でも、この大河ドラマに関しては、題材選びがすごく斬新なので、そこにびっくりしました。

僕はマラソンが大好きなんです。出身高校が駅伝で最多優勝記録を持っていることもあって、僕自身学生時代にやっていたこともありますし、「これは僕のテーマだ」と思いました。他の人に依頼されなくてよかったです。

――マラソンのどんなところがお好きなんですか?

マラソンは人生そのものだと思うんです。駅伝は一人一人が人生を渡していくので輪廻転生を表しているような、そんなものとして見ています。

――ポスターの素材撮影に同席されていましたが、勘九郎さんが走る姿を見ていかがでしたか?

運動神経が普通のマラソンランナーよりもすごいと思いました。勘九郎さんは、本物のマラソンランナーの方だったらできないような、アクロバティックな走り方ができるんですよね。

役者さんとしての運動神経を使って、マラソンランナーをデフォルメした走り方をしていただくと、極端な表現が加わるので、面白いなと思いました。

僕は、勘九郎さんがいろんな形で走っている姿を捉えた写真をモンタージュして、マラソンを走る2時間半ほどの時間を1枚に凝縮したいと思っていたんです。

そんな漠然としたイメージだけを持っていたので、撮影した写真を見ながらデザインを再構築することができました。

――ポスターはさまざまな写真が使用されたデザインになっていますが、撮影の時に横尾さんから提案したことはあったんでしょうか?

「ペットボトルを持っている手があったら面白いな」と思いついて撮影してもらったので、車輪のようになっている手の中の一つがペットボトルを持ってます。

明治時代にはペットボトルがなかったかもしれないけど、その時間差も面白いような気がして、現代ともつながるし、「これは笑えるぞ!」と。自分でもいいアイデアだと思ってます(笑)。

――撮影の日、勘九郎さんとは何かお話されましたか?

歌舞伎はすごく好きなので、お父さんの(十八世中村)勘三郎さんを知っておりますし、おじいさんの(十七世中村)勘三郎さんも、勘九郎さんも小さい時から見ております。中村屋の伝統が、勘九郎さんの身体の中に染み込んでいると思いました。

僕は、美術作品にはコミカルさやユーモアが重要だと思っているんです。それで言うと、コミカルな部分は勘三郎さんからずっと続く中村屋の伝統ですし、勘九郎さんもそんなコミカルさを持っている方だと思っています。

だから、NHKさんはいい人を主役に選ばれましたよね。

勘九郎さんにはこの前初めて会ったんですけど、以前、お父さんがやられていた「平成中村座」のポスターを作ったりもしていたからか、初めて会った感じが全然しなかったです。勘九郎さんも僕にそういう気持ちで接してくださっていた気がします。

そういう感覚は、ものを作る上ではとても大事だと思うんです。