――嘉納さんは、主人公の恩師であり、教育者として導く立場の人物です。役所さん自身もその役のように現場の皆さんを導いている部分があるんでしょうか。
若い俳優さんたちに何かを指導するというのはないです。自分のことで必死ですし、「おっさん頑張っているな」と思われるのが一番いいかなと思っていますね(笑)。
――「いだてん―」の現場はどんな雰囲気ですか?
宮藤さんの脚本の雰囲気が現場にも反映されているような気がします。シリアスな部分でもユーモアがありますし、監督たちも基本的には明るいです。
元気なドラマを作りたいと思っているからか、笑顔が絶えない現場になっているような気がしますね。
みんなも僕自身も、勘九郎さん演じる“金栗四三を支える骨の一本”になれるようにと考えていると思います。主人公が輝いているドラマじゃないと面白くないと思うので、みんなで金栗さんを盛り上げていく役割を背負っているんだと思います。
――役所さんから見て、このドラマの魅力はどんな部分だと思いますか?
金栗さんや、三島さんなど、世間的に知られてはいないけれど「こんな人がこんな頑張ったんだ」っていう歴史上の人物がたくさん出てくるんです。「嘉納治五郎は、唯一の有名人だ」とスタッフさんには言われているんですけどね(笑)。
嘉納さんの他にも、『これフィクション?』って思うような実在の人物やエピソードがたくさん出てきます。僕も台本を読んでいて知ることが多くて、とても面白いです。
それに、ちょっと知っている家電とか、懐かしい街の風景とかも出てくるので、それも面白いと思います。大きい携帯電話とか(笑)。そういうのを見ると笑っちゃいますよね。
――このドラマを見て、初めてオリンピックの歴史を知る若い世代に向けて、なにかメッセージをいただけますか?
そうですね。約100年前に、日本が世界とスポーツで戦うために、あんなに遠いところまで行って、それが、今の日本で僕たちがスポーツを見て感動がもらえるようになったことにつながるということを感じてもらえると思います。その過程が、本当に細かくユーモラスに描かれているんです。
スポーツが世界中をつなげるまでの歴史の中には、関東大震災や第二次世界大戦など、いろんなことがありました。それを乗り越えて、「楽しくスポーツをやっていこう!」という話ですので、そういう意味では、今、大変なことが起こっている方々にも元気を与えられると思いますし、皆さんに身近に感じてもらえるドラマになっていると思います。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)