――武監督が公式サイトで「玉木宏さんは、白戸という役の喜怒哀楽だけでははかれない、さまざまな感情や孤独、哀愁を見事体現された」とコメントされていますが、感情表現で工夫した点は?
「例えば、『怒』の感情を表現する場合、すぐ怒る人は相手の言葉の最後にかぶせて何か言ったりするんですが、冷静なタイプだと、言いたいことを一回飲み込むからちょっとした間ができるんですね。決して口調は強くないけど、『こいつ、何言ってんだ』という怒りを、微妙な間を使って表現する。姿勢も、その瞬間の感情によって、猫背になったり、強くあろうとする時は背筋を伸ばしてみたり。ほんの少しの違いかもしれませんけど、見え方が変わってくるんです。そんなふうに細かく設定しながら演じていました」
――脚本では、見当たり捜査をしているシーンのト書きに、「白戸の目の奥が弛緩する」という表現がありますが、「目」の芝居は意識されましたか?
「結構、そのト書きが出てくるんです。でも、あまりやりすぎると超能力者っぽくなってしまうので(笑)、そんなに強く意識することはなかったです」
――個性豊かなキャストの方々との共演はいかがでしたか?
「白戸の一番身近な存在ともいえる千春役の(伊藤)歩ちゃんとは何度もご一緒しているんですけど、お互いに歳を重ねて、今このタイミングでまた共演できたことがうれしかったです。
白戸の全てを変えたといっても過言ではない直属の先輩・須波を演じたKEE(渋川清彦)さんとは、映画『ラプラスの魔女』(2018年)でご一緒しているんですが、共演シーンがなかったんです。今回は僕の先輩役で出演されたのですが、すごく味があって、強烈な存在感で。昔、KEEさんがファッション誌に出られていた時によく見ていたので、こういう形で共演できてよかったなと思っています」
――白戸と共に見当たり捜査をする安藤(内田理央)、谷(町田啓太)といった若手刑事のキャラクターも魅力的です。
「大切な仲間ではありますが、お互いに完全に素の部分を見せているわけではなくて、それぞれが孤独を感じている。白戸を含めたこの3人は独特の関係性ですね」
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