「常に自然体でいれば、それもひとつの味になる…と想像しています(笑)」
――絶えず人の顔を見ているキャラクターを演じていると、プライベートでも他人の顔が気になって仕方がない、というようなことはありませんでしたか?
「それは全くなかったですね(笑)。撮影が終わったら気持ちを切り替えるので。役を引きずるタイプではないんです。もちろん、役に集中するときはしっかりと集中しますが、それ以外の時間は何も考えないようにしています」
――オン・オフの切り替えは上手なタイプ?
「いつも予定をぎっしり入れてしまうので、仕事が終わったらすぐ次のことをやっている、という感覚なんです。だから、自然とスイッチが切り替わっているのだと思います」
――男性は年齢を重ねると、生き様が顔に表れる、なんて言いますが、玉木さんが理想とする「顔」はありますか?
「確かに人の顔も木と同じで、歳を重ねた分、年輪のような味わいが出てくる。女性の場合はまた違った感覚なのかもしれませんが、僕の場合は、このままでいいのかなと。常に自然体でいれば、それもひとつの味になるのではないか…という想像はしています(笑)。少なくとも、きれいに見せようとは一切思わないです。おそらく、年齢を重ねていく過程で、自分に求められるものも変わってくるだろうと思うんです。若い頃はやはり、中性的な雰囲気だったり、元気いっぱいな役、どうしても女性に受けるような部分を求められていたと思うんですが、最近は、俳優業を続けていく中で、年相応の良さを見せればいいんだと思えるようになってきて。そう考えたら、すごく気持ちが楽になりましたし、俳優という仕事もやりやすくなったような気がします」
――では最後に、改めて「盗まれた顔」という作品の見どころを教えてください。
「“見当たり捜査員”という職業は、まだそれほど認知されていないと思いますが、実際には多くの方々がこの仕事に従事されていて、実際、逮捕している事例もたくさんあります。まずはそういう仕事があるのだということを知っていただきたいですし、とても過酷な仕事であるということも分かっていただけたらなと。刑事というと、強い権力を持っているようなイメージがありますが、結局は一人の人間です。他の職業と同じように、いろんな悩みを抱えながら自分の仕事を全うしようと一所懸命働いている。サスペンスドラマとして楽しんでいただきながら、地に足の着いた人間ドラマとしても、とても見応えのある作品になっていると思いますので、ぜひご覧ください」