――熊本で、5歳の四三を演じた子役の久野倫太郎くんと一緒のシーンでクランクインされたそうですね。
倫太郎くんはオーディションで選ばれた演技初挑戦の子なので、「もしかしたら、撮影には時間がかかるかもしれませんが、お付き合いください」と監督から言われました。
倫太郎くんの生の反応や感情を撮影したいという監督の狙いがあって、僕は普通の台本をいただいていたんですが、倫太郎くんには筋書きだけが伝えられている状態でした。撮影はすごく面白かったですね。
2人でお芝居をした後に、倫太郎くんから「お芝居お上手!」ってほめられました。二回も(笑)。これで僕はしばらくこの仕事続けてられるなって勇気をもらえました(笑)。
――それは倫太郎くんは大物になりそうな予感がしますね(笑)。
倫太郎くんの言葉は本当に力になりました。周りのスタッフさんにもすぐに報告して、そしたらみんなも「やったね!」って言ってくれましたよ(笑)。
――撮影はかなりの雨だったそうですね。
はい。それに「撮影大丈夫か?」って思うほどの山道だったので、かなりハードでした。
四三役の倫太郎くんに、実際に険しい山道を体験させて、そのリアルな表情なり感情を撮りたいという監督の意図があったと思うんです。でも年寄り的にはきつかったです(笑)。
――2人の演技で特に意識したのはどんなところでしたか?
倫太郎くんが相手役のときは、実際の子どもに接するように、分かりやすくというのは心がけました。
実際に、子どもに対して親が交流をする時って、親の方が分かりやすく噛み砕いて指示を出したりするじゃないですか。そういうふうに話すことを心がけました。
――なかなかない撮影手法だったと思いますが、いかがでしたか?
倫太郎くんとの共演は新鮮でした。プロの人だと、演技の間を埋めようとして言葉を発するんです。でも倫太郎くんは何もしない。驚いたときも、驚いたまんまで何もできないんですよね。それが本物だなと思いました。
間を開けても平気っていう、欲のない感じがすごくいいなと思いました。
――田口さんは、アドリブで何かを返したりしたんですか?
それはやらないようにしました。嘘を返してはいけないって思ったんです。監督からの指示は出てくるのでもちろんそれはやりましたけど。
この作品は、3カメラで撮影していて、素材も豊富ですごくいいところを構成してくれる作品になると思うので、仕上がりが楽しみです。いい倫太郎くんの表情が撮れているんじゃないでしょうか。
子どもと動物の存在は表情が勝負だったりしますから、その表情にプロの大人が失ってしまったものを見い出してグッとくるんですよね。
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