物語の後半になるにつれて、財前が追い込まれていくので、撮影も苦しくなることが多くなりました。
せりふを覚えたはずなのに、財前が不安だから自分も不安になって、芝居に自信がなくなってくるということもあり、終盤は戦いの連続でした。
これまでに財前を演じられてきた歴代の方々も苦しまれたんじゃないでしょうか。僕も最後まで悩みつつ、皆さんに喜んでいただけるようなお芝居ができたらと思っています。
原作と過去の作品をリスペクトしながらも全く別のものを作っている感覚があるので、皆さんにはまた新しい現代の「白い巨塔」を楽しんでもらえると思います。期待していただけたらうれしいです。
大学病院には、患者のためを思っている人もいれば、自分のために生きている人もいる。この作品は大学病院を舞台にした物語ではありますが、そこにいる人間の“それぞれの生き方”がぶつかっていく物語なのかなとも思いました。
大学病院を通して人間という生き物を観察しているような感覚です。岡田さんと僕の演技の幅が広ければ広いほど、よりいろいろな世界が見られる物語になるのではないかと思うので、そこを意識して演じました。
今回、鶴橋(康夫)監督と初めて仕事をご一緒するので楽しみにしていました。岡田准一くんと松山ケンイチくんという魅力的な二人が、この「白い巨塔」を描いてくれるということが出演の決め手でした。
岡田くんとは大河ドラマ「軍師官兵衛」(2014年、NHK総合ほか)という作品で向かい合ったことがあるので、真っすぐな俳優さんだと分かっていましたし、松山くんとは初めてですが、彼の出演したいろいろな作品を通してある種の“太さ”を感じていました。
日本のテレビ・映画界の中心になっているこの二人が、一体どうぶつかり合うのか…、そしてこの二人の間に自分がどういられるのか楽しみでした。
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