――日本の歴史をミュージカルにしようと思ったのはいつ頃ですか?
ある家族の歴史が、日本の歴史と重なっていくという設定の物語を創りたいと思ったのは10年以上前です。それをどういう形で表現できるかと考えた時に、ミュージカルならば可能なのではないか、と思ったんです。
ミュージカルは、それこそ突然人が歌いだす世界でもありますし、何があってもおかしくない。日本史と家族史が重なっていく、ちょっと複雑な物語もミュージカルでやることで、分かりやすく表現できるのではないかと思いました。
もう、7、8年前かな、荻野さんにこんな事をやってみたいという話をしたのですが、実は彼女は全く歴史に興味がないという事がそこで分かったので、だったらとりあえずこれを読んでみてください、と日本の歴史のマンガ版を渡したのが始まりです。
――荻野さんの反応はいかがでしたか?
最初に僕がこんなものをやりたいんだという話をしてもよく分からないと言われました。それで、割と早い段階で構成表を作って荻野さんにお見せしたんですけど、やはりよく分からないと。ならば、これはイメージをつかんでもらうためにも台本を書いて、まず読んでもらおうと思ったんですが、だいぶ遅れてしまいました。
台本が完成する前にも、荻野さんに会って、こんな感じだというのを見せたのですが、荻野さんから、自分のような歴史に興味がない人からすると全く聞いたことがない人たちも多く出てくるから、これではついていけないという指摘を受け、せめて、名前だけでも聞いた事がある人を入れてもらえないかと。
それで、またいろいろ考えて、台本が完成して初めて、「三谷さんがやりたい事がようやく分かった、こういう事だったんですね」というそんなプロセスでした。
――歴史上の人物が後押ししてくれると思う事はありますか?
そもそも僕が歴史を好きになったのは、そこなんですよね。それを今回、歌にもし、せりふにもして皆さんに伝えたかったという思いが一番大きいですね。
自分が今、直面している問題は、僕が初めてぶち当たった問題ではなくて、今まで誰かが同じような事にぶつかり、同じような事で苦しんだはずで、それを知る事で、勇気が湧いてくるというか、そのために僕らは歴史を学ぶのではないかと思うんです。
その歴史をひも解く事で、今自分が悩んでいる事からどうすれば解放されるのかというヒントが、歴史のどこかに隠されていて、自分の未来も開けてくる。そういう歴史の見方をするという事はとても価値のある事ではないかなと思います。
それは自分が歴史を読む時に、強く感じる部分ですね。
なおミュージカル「日本の歴史」では、この三谷のインタビューに加え、音楽の荻野のインタビューも放送される。三谷から、この舞台の構成や台本を渡された時の、荻野の意見や感想も明かされる。
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