「監察医 朝顔」平野眞監督、演出のこだわりは『カメラが演出しない』

2019/08/05 06:30 配信

ドラマ インタビュー

「監察医 朝顔」第4話より(C)フジテレビ


当時から「すごく頼ってました(笑)」


――「エンジン」の撮影から約14年たっていますが、上野樹里さんの演技に変化は感じられましたか?

エンジン」の時は、主演の木村拓哉さんに突っかかっていく子どもたちの代表みたいな役だったから、上野樹里さんを撮っていれば子どもたちが伝えたいことを代表できていたんです。なので、すごく頼ってました(笑)。

別の子の事件でも、上野樹里さんと台本を元にすり合わせをしていましたね。彼女は覚えているか分からないけど…。何かを表現したい時は、必ず彼女のリアクションは撮っておこうって思っていました。

最初にお会いした時は、「こんなに若いのに、セリフの言葉の語尾まで、言い方のパターンを考えられるのはすごいなぁ」という印象を持ちました。

もしかしたら、あの当時はセリフが少なかったからこそ、そういうふうに取り組んだのかもしれないけど、今もそこは変わっていないですね。

印象はあの当時のままですが、すごく頼りにしていたのを思い出しました(笑)。

――震災のシーンでは、山口智子さんの役柄が特に印象的ですね。

山口智子さんが演じる茶子は、衣装や部屋が少し遊んでいますよね。正直「どこまでやって大丈夫なのかな」って思ってたんです。

でも震災のシーンの山口智子さんのパワーがすごかったんです。人を思いやる気持ちや、「助けたい」という感情をきちんと表現できていて。

震災のシーンの中でも山口智子さんのセリフは、相手を励ますということと、遺体に対して敬意を持って接するという思いが含まれているんです。

そんな中、こんなに振り幅が広い表現をできる方はいないです。芯がある人ですね。

あと、アイデアマンなんです。イヤリングがカツ丼だったりスイカだったり、毎回変えているんです。本当は衣装のつながりとか考えているんですが、これに関しては気にしなくていいと思ってます(笑)。

――「監察医 朝顔」を通して、伝えたいことを教えてください。

もちろん震災を忘れないという気持ちも大きいです。ただ、「震災」だけでなく、みんなそれぞれに背負っているものがあるので、いろいろな思いをしっかりと受け止めて、前を向いて生きていってほしいと思っています。見終わった後、過去も未来も大切にしたいと思っていただける、そんなドラマにしたいですね。