半沢直樹だけじゃない! 池井戸潤原作『七つの会議』八角民夫(野村萬斎)の“倍返し”<ザテレビジョンシネマ部>

2019/12/03 07:00 配信

映画

『七つの会議』 (C)2019 映画「七つの会議」製作委員会


原作は全8話から構成される連作短編小説集だが、映画版では萬斎扮するグータラな八角をキーマンに据え、及川演じる原島課長と朝倉扮する事情通の優衣に“探偵役”を担わせることで、映像作品ならではの伏線とその回収をよりドラマティックに展開させていく。不敵な笑みを浮かべる謎の男、八角の正体を原島&優衣コンビで暴きつつ、八角の真の狙いが明らかになるや、物語は怒涛のクライマックスへと一気に突き進むのだ。

まさに『七つの会議』というタイトルが示す通り、営業会議や御前会議を主戦場に、“結果が全て”の世界を生き抜く企業戦士たちの姿を通じ、働くことの正義や守るべき信念とは何かを観る者に突き付ける、企業犯罪エンターテインメント作品となっている。

物語のキーパーソンとなる営業部長役の香川照之をはじめ、親会社の社長役の北大路欣也や下請け会社の社長役の立川談春など、過去の池井戸原作ドラマに登場したアクの強い超豪華キャストが絶妙な配役で参加しているのも、『七つの会議』で注目すべきポイントのひとつ。顔の筋肉をフル活用して演技合戦を繰り広げてきた“濃い”面々が、本作においては一体どんな役回りを演じているのか、ぜひ注目してほしい。狂言や歌舞伎、落語といった日本の古典芸能の担い手と、ミュージカル・スターやロック・ミュージシャン、お笑い芸人らが“役者”として一堂に会し、映画の中で企業人として競い合う姿は圧巻だ。