ヒット番組の条件の一つとして昨今重視されつつあるのが、視聴者の声をダイレクトに反映する“SNSでの盛り上がり”だ。
番組側は、本編では見られない出演者のオフショットや現場エピソードをInstagramやTwitterで積極的に発信してファン獲得に努め、視聴者はリアルタイムで作品を視聴しながらTwitterで感想をつぶやく。反響を受けて関連ワードがTwitterトレンド入りすればニュースになり、作品の人気ぶりを裏付ける。
2019年、SNSの盛り上がりがヒットにつながった作品といえばまず浮かぶのが、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」や、流行語大賞にもノミネートされた「あなたの番です」(ともに日本テレビ系)だろう。
謎が謎を呼ぶ展開に視聴者が“考察”という形で参加し、Twitterで独自の解釈や推理を展開。番組ファンは本編を視聴した後に“考察”ツイートをチェックすることで、作品を2倍にも3倍にも楽しむことができる――そんな好循環が生まれ、「#3年A組」や「#あな番」が何度もTwitterのトレンド入りし、SNSの反響を反映させた「視聴熱※」ランキング上位にたびたび食い込んだ。
大河ドラマ「いだてん」(NHK総合ほか)もSNSとの親和性の高い作品だった。宮藤官九郎氏による練り上げられた脚本を大根仁氏ら演出陣が丁寧に映像化し、コアなファンに熱烈に支持された。
宮藤脚本の醍醐味は、散りばめられた伏線の数々。視聴率の低さがたびたびメディアを賑わせた一方で、何気ないシーンがのちに大きな意味を持ってくる展開はまさに“感想をつぶやかずにいられない”SNS向きの作品。最終回では主人公のひとり・田畑政治(阿部サダヲ)の口ぐせをもじった「#いだてん最高じゃんねぇ」がTwitterの世界トレンド1位に輝き、有終の美を飾った。
こうしてファン主導で盛り上がる番組が生まれる一方で、SNS盛り上げのための“戦略”を積極的に展開する番組も増えている。大ヒットした前作の世界観を引き継いだ「おっさんずラブ-in the sky-」(テレビ朝日系)は、前作に続きメーンキャラクター・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)が日記風に綴るInstagramアカウント「武蔵の部屋」を展開。本編ではそれほど描き込まれないヒロイン・武蔵の熱烈な想いが「武蔵の部屋」では赤裸々に記され、ファンを沸かせた。
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