ムトウユージ監督「しんちゃんだけは飽きないんです」クレヨンしんちゃんへの熱い思い

2020/02/15 08:00 配信

アニメ インタビュー

ムトウユージ氏は「まだしんちゃんの全てをつかみ切れていない」と語る(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK


挑戦し続けてきた「クレヨンしんちゃん」


――印象に残っている“時代を反映した”ことは?

テレビが地デジに代わる時に、野原家では地デジ移行が間に合わなかったというエピソードが一番印象的ですね。地デジカも出しましたし(笑)。風間くんの声を担当している真柴(摩利)さんが地デジのコマーシャルでナレーションを務めていて、その時のせりふを全てお借りして、本編で使用したことがあります。…真柴さん苦笑していましたけど(笑)。

――パロディー要素はほかにも?

いろいろ挑戦してきましたね。今はできないですけど、代表的な作品だと「名探偵コナン」(日本テレビ系)もやりました。目のハイライトもコナンくん風にして、音楽も「名探偵コナン」っぽい曲を作ってもらいました! でもよく聞けばいつもの「クレヨンしんちゃん」の曲なんですよ。

おケイ役の高山みなみさんはコナンの声をやっているので、「コナンに似ているようで、似ていない声」でとリクエストし、ナレーションをしてもらいました。

――「名探偵コナン」以外には?「探偵物語」の松田優作さんのまねをヒロシがしたり、金田一耕助のまねをみさえがしたりと、これまでいろいろなことを試してきました。僕は金田一シリーズとか、松田優作さんが大好きなので、作品に取り入れて遊んでいました。「怒られるかな?」とも思ったんですけど、案外怒られなかったです(笑)。

――作品に対してはどのように向き合っていますか?

コンプライアンス的な問題で、前まで当たり前に表現できていたことが表現できなくなったりする苦しい状況は確かにありましたし、時代の流れも反映していくと、しんちゃんも波にのまれてしまうかもという不安もありました。

そのことを逆手にとった表現を考えることで、「これはいいのか?」「ここまではギリセーフなのか?」というボーダーラインを自分で試していました。

――ボーダーラインはどこで判断しますか?

とりあえずコンテでネタを描いてみてから、プロデューサーに「これ、いけるかな?」と相談して、そのボーダーを決めています。僕の中のポリシーは、「思い浮かんだものを一回、描いてみる!」というところにあるので、通らなければ通せるボーダーまで直したり、別のネタを考えたりしています。