その合間、恋する女性の揺れる繊細な心も滲ませるだけでも手練であるうえ、週の終わり(25回)には、海で裕一作曲、妹・梅(森七菜)の作詞による歌「晩秋の頃」まで披露した。吹き替えなしのその歌声は伸びやかな透明感があり、ミュージックティ(ーチャー)こと御手洗(古川雄大)なら「パーフェクト!」と賞賛するであろう。
二階堂演じる音は、いつもは元気で陽気だけれど、恋をすると乙女になってしまう少女漫画のヒロインのようである。
この少女漫画のヒロインっぽさはとても重要で、視聴者が自分を投影して物語に没入することを後押しする力になる。
例えば、「フランケンシュタインの恋」(2017年、日本テレビ系)で二階堂が演じたヒロインは、綾野剛演じる不思議な人物を好きになり、どんな困難も乗り越えて彼を守り続ける。健気な雰囲気と、お帽子とトラッドスタイルの衣裳も相まって、こういうファンタジー漫画が実際にあるのかとも思ったが、オリジナルで驚いた。
「エール」も昭和初期のお嬢様スタイルが、昭和の少女漫画のようなのである。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)