ご覧になったことのない方のためにあらかじめ言っておくと、このドラマ、トリックがかなり本格的だ。
犯人は早い段階で絞られていくのだが、肝心の密室トリックがちょっとやそっとじゃ見破れないレベルの高さ。推理ドラマファンのお目がねにも十分かなう王道ミステリーに仕上がっている。
それでいて、相棒役を務める2人の弁護士、芹沢と青砥の親しみやすいキャラクターが、作品の間口をグッと広げている。
まず、青砥を演じる6年前の戸田恵梨香がとんでもなくかわいい。新人弁護士という役柄が醸し出す初々しさも相まって、元気印のフレッシュなイメージにあふれている。
ユニークなのが、佐藤浩市演じる推理小説嫌いのベテラン弁護士・芹沢。原作にはない、ドラマオリジナルキャラクターだ。
大河ドラマ「新選組!」(2004年、NHK総合ほか)で演じたのは硬派で豪胆な新選組初代筆頭局長・芹沢鴨だったが、こちらの“芹沢”はもっとずっとライトで人間味あふれるタイプ。
推理ドラマの登場人物であり、かつ、いかにも名探偵然とした渋さ満点の風貌でありながら「俺さ、推理小説とか探偵ドラマとかそういう類のものが大っ嫌い」「おいおいおいおいまた密室かよ」と、まぁボヤくボヤく。
榎本の勿体ぶった謎解きに「意味がよくわからない」「言ってる意味が全然わからない」とチャチャを入れまくって、「推理ドラマって形式ばってて苦手なんだよな~」という一部の視聴者の心を絶妙につかんでくる。冒頭の嘆きももちろん芹沢のセリフだ。
そうはいっても本音は榎本の謎解きに興味津々。刑事の鴻野(宇梶剛士)に「あなた推理小説の読みすぎです」なんて指摘されるくらい推理小説を意識しまくっている、愛すべきキャラなのだ。
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