スタート日が遅れたり、いったん開始したものの休止になったりしている波乱の連続ドラマ。月刊ザテレビジョン編集部がピックアップした、まだスタートしていない注目の5作品について、コラムニストの木村隆志氏、フリーライターの横川良明氏、小田慶子氏の3人が語り合った。まずは、篠原涼子が派遣社員・大前春子を演じる「ハケンの品格」(日本テレビ系)について。
横川「13年前に第1作が放送されたとき、僕も派遣社員だったので、春子の活躍に溜飲を下げていました。時代劇みたいなドラマだけど、派遣の描き方にはリアリティーがありますね」
小田「それだけに今回はタイミングが悪かったかも。新型コロナウイルスの感染拡大で経済も落ち込み、いわゆる派遣切りが起こっているじゃないですか。“強いハケン”の春子が“弱いハケン”を助けるという構図を描くにしても、描き方が難しい世の中になっていますよね」
木村「脚本の中園ミホさんは前作の後に、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)で時代の変化を取り入れてきたので、ぜひここでもやってほしい」
横川「ウィズ・コロナとかアフター・コロナというけれど、今期で変化した現実をいち早く反映できるとしたら、この作品ですよね」
小田「いっそプロットを変えて、途中で大規模な派遣切りが起こることにしては? クライマックスで春子が派遣社員を率いて戦う姿を描けば、神ドラマになる!」
木村「ただ、基本は何も考えずに楽しむ趣向なので…。春子はロボット的なキャラだけれど、篠原さんには、13年の歳月を経たからこその進化も見せてほしい」
小田「あと、やっぱり篠原さんと大泉洋さんとの丁々発止のやりとり! コンビ復活が楽しみです」
続いては、「倍返しだ」の決めゼリフで社会現象を巻き起こした「半沢直樹」(TBS系)。
横川「半沢(堺雅人)が証券会社に出向。前作で描かれた銀行という特殊な世界よりは身近に感じられるかも。親会社が子会社の仕事に横やりを入れたり、プロパーと出向組が対立したりというのもリアルにあることなので」
木村「“倍返し”する下克上の構造が一段深くなりましたよね。しかし、これは何といっても演出のドラマ。福澤克雄監督が今回はどこまでやってくれるか」
小田「7年前に放送された前作を見直すと、映像に何か異常なほどの勢いが(笑)。前作のラスボス、大和田役の香川照之さんに加え、新キャストの市川猿之助さん、古田新太さんが半沢の敵役。証券会社の部下・森山役の賀来賢人さんもいい演技をしているそうで、どんな芝居を見せてくれるんだろうというワクワク感は一番あります」
横川「ただ、7年前はこの路線が新鮮に感じられたけれど、その後、日曜劇場で池井戸潤原作ものをたくさんやってきたので、インパクトでは前作に及ばないかな?」
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