――えんの物語と同時進行で、同級生の純(片山友希)の生活も描かれます。純の家は母親が家出をし、父親の二人暮らしで、その現状に戸惑いや苛立ちを抱き、また、この先ずっとこの町から出られないかもしれないという閉塞感が漂っているように感じました。
純ちゃんサイドのテーマは“息ができない”で、町に捕われている感じがあると思います。そして、町全体に漂う閉塞感みたいなものを、純ちゃんが一番感じていると思いますね。
――そんな純と出会うことで、えんの日々も変化するんですよね。
えんは一見悩みのない子に見えますが、実はいろいろなことを考えている、ということが最後にかけて判ってきます。そんなえんを演じる際に思ったのは、端から見た時に痛々しくてもいいやということでした。ラストシーンも、純ちゃんたちとモールで騒ぐシーンも、その瞬間、この子たちは全力で生きている。だから青春時代の良さみたいなものが出せたらいいなと思いました。
――この作品は、えんだけでなく、一人一人の描写がとても丁寧ですよね。
そうなんです。これだけ人数がいると、全員にスポットを当てるのは難しいと思うんですけど、一人一人の印象が強く残る群像劇だなと思いました。
――今作でのふくだ監督の演出はいかがでしたか?
今回の撮影でのふくだ監督は、台本の相談をしてくださったり、いろいろなことを試してくださいました。例えば、一度演じてみて違うねとなった時に「えんだったら何て言うと思う?」と聞かれて、セリフを変えたシーンもありました。琴子がナリヒラくんのことでえんに不満をぶつけるシーンで、えんが「どうでもええわ」って言うんですけど、そのセリフは私が提案したものだったんです。そういう経験は初めてだったので、とても新鮮でした。
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