外山文治監督、村上虹郎は「今の若者の葛藤を背負っていただくには一番適した俳優」

2020/08/20 05:30 配信

映画

映画「ソワレ」日本外国特派員協会記者会見に登場した外山文治監督、村上虹郎、芋生悠、豊原功補(写真左から)


日本の社会が抱えている“不寛容さ”や“閉塞感”もこの作品で取り上げられているテーマの一つ。

村上は「僕なんかでは解決策を到底語れないと思っていますが」と前置きをして、「翔太という役に関しては、彼が抱えている葛藤だったり壁みたいなものは僕自身も近いものは今でもずっとあります。その中で大事だなと日々思うのは、まず勉強すること。

そして、自分に対して厳しいことを言ってくれる人がいること。愛がない厳しさもきっとあると思うので、自分に対して本当に愛をもって厳しくしてくれる人に出会えるか、見つけられるか、っていうことが大事なのかなと思います」と自身の考えを語った。

“虐待”というセンシティブなテーマも取り挙げられているが、トラウマを抱えているタカラを演じた芋生は「虐待は自分が経験のないことですけど、繊細な問題なのでしっかり表現したいなという思いがありました。

『タカラはこんな気持ちだったんじゃないか』というエゴじゃなくて、本当にタカラと向き合って一緒に歩んでいくことで、演じながら気付いたこともありました。親を選ぶことはできないかもしれないけど、自分自身で道を選んで、自分自身の足で歩いて、何度でもやり直せて、何度でも立ち上がれるということを、この映画の中で表現できればいいなって」と、演じたことで発見もあったと明かした。

豊原「俳優もプロデュース業も存分にやっていきます」


「プロデューサー業と俳優業のバランスは?」という質問を投げ掛けられた豊原は、「長く俳優をやってますけども、その中で見てきた光景としては、やはりアメリカの(ジョン・)カサベテスであり、クリント・イーストウッド、ジョディ・フォスター、いろんな方が俳優として映画を撮ったり作ったり、今でもたくさんいらっしゃいます。

日本でもそういうことをやってらっしゃる方はたくさんいるわけですが、昨今、われわれのような人間がそこに手を出すと色眼鏡で見られる風景がある。そこはあまり意識せずにやっていきたいと思っておりますので、俳優もプロデュース業も存分にやっていきます」と力強く意志を表明。

そんな豊原に、芋生は「『ソワレ』は役者である先輩方がプロデュースしてくださって、自由に表現できる場所を作ってくださいました。私はこれから役者として一生やっていきたいと思っていますけど、思い切り自由に表現できる場所があるっていうのは幸せなことだと思っています」と感謝の気持ちを伝えた。

続けて「監督だったり、スタッフ、キャスト、みんなで一つのものがつくれるのは幸せなことだと思っています。私はすごく映画が好きなので、愛し続け、役者として生き続けるということで、誰か一人でも多くの人に不寛容さでもどかしさを感じてる人に希望を与えられたらいいなと思います」と役者という仕事への熱い思いも語った。

取材・文・撮影=田中隆信

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