――シットコムという形にした理由は?
三谷:シットコムって本来は1話完結なんですよね。どんなに主人公がいろんなことを経験しても、次の回になったら全部リセットされていて成長がない。でも、最近は全話まとめて見たいという人が多いらしいんですよね。だから、今回も全8話を一気に配信すると。それなら、1本目見たら最後まで見ないと気がすまなくなるような連続性のあるストーリーにしようかなと思ったんです。舎人が少しずつ世界的に有名になっていって最終的にどうなるのか。新しい形のシットコムをやってみたいという思いがありました。
――香取さんは、脚本を読んでどう思いましたか?
香取:三谷さんとご一緒させていただく時はいつもそうなんですけど、読む前からワクワクが始まっているんです。
三谷:それは、読む前からどんな役でもやるって決めていたということ?
香取:もちろん、そうですよ。脚本を読んでも楽しくて「あ~、もう読み終わっちゃった。早く次の話が読みたいな」って。それは、撮影していた時も完成したものを見た時も同じで「もう、終わっちゃったんだ」と思うぐらい面白い。早く次が見たくなる作品です。
――これまで、三谷作品では振り回される役が多かったですけど、今回は逆パターン。舎人というキャラクターを演じた感想は?
香取:今回は振り回してもいい役ということで、最初に脚本を読んだ時は引っ掛け問題なのかなって思いました。脚本には書かれていないし、三谷さんからも何も言われていないんですけど「あなたこの意味、分かりますよね?」って「この役の裏には、こういうテーマがありますよ」って問い掛けられているような気がして。ほんとに振り回していいんですかって思いながら演じていたような気がします。
三谷:でも、引っ掛けじゃなかったからね。
香取:そうなんです。ほんとにいいんだなって分かり始めてからは段々と爆発させてゆくことができました。すごく楽しかったです。
――今回の作品で、香取さんの新たな一面を発見したところはありますか?
三谷:第1話でソファの位置をずらすシーンあって、その時に手がソファの隙間に挟まって抜けなくなるという芝居があるんです。最初は片手だけだったのが、必死に抜こうとしているうちに両手が挟まり、ついには足までも…という流れなんですけど、もともと台本にはなくて現場で考えたシーンなんですね。何かもう少し面白いことができないかなと思っていた時に香取さんが「ソファに手が挟まるっていうのはどうですか?」って言ってくださって。そこからどんどん広がってできたシーンなんです。
ソファに手が挟まったという芝居を3分ぐらいやっているんですけど、あの芝居は本当に力のある人じゃないとできない。これはネタバラシというか当たり前のことなんですけど、実際は挟まっていないんですよ。挟まっている芝居をしているだけ。抜こうと思えば抜けるんですけど、きちんと挟まっているように見せながらちゃんと笑わせてくれる。あれができるのは志村けんさんか香取さんぐらい。ご本人はどう思っているか分からないですけど、喜劇俳優として僕は全幅の信頼をおいています。
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