「阿弖流為」製作発表に染五郎、勘九郎、七之助が登壇

2015/05/08 17:55 配信

芸能一般

歌舞伎NEXT「阿弖流為(アテルイ)」の製作発表に登壇した中村七之助、市川染五郎、中村勘九郎(左から)

7月5日(日)より東京・新橋演舞場で上演される、歌舞伎NEXT「阿弖流為(アテルイ)」の製作発表記者会見が行われ、出演する市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助、脚本・中島かずき、演出・いのうえひでのりが登壇した。

「アテルイ」は、'02年に染五郎主演による劇団☆新感線とのコラボ企画「Inouekabuki Shochiku-mix」の第2弾として上演され、数々の賞に輝いた演劇作品。今回は13年ぶりに“歌舞伎化”し、タイトルも「阿弖流為」となり新しく生まれ変わる。

染五郎は「今回『歌舞伎NEXT』という新しい演劇が誕生します。そのスタートが本日だと思っております。新しい演劇になると思いますが、決してやったことがないことをやるのではなく、歌舞伎の400年以上の歴史を全てひもといて、立ち回りや、テクニックなども掘り起こして料理していきたい。キーワードは“交ぜる”だと思っています。新しいものと歌舞伎の手法を交ぜ合わせた時の化学反応を目指して、たくさんの“歌舞伎の引き出し”をいのうえさんにお渡しして、作っていただきたいと思っております」と新しい挑戦への意気込みをコメント。

また染五郎は「根拠はないんですけど、すごいものができる気がしています! 13年前より今の方が若いんじゃない? もっとかっこいいんじゃない?って皆さんに言ってもらえることを、よく妄想しています(笑)」と再び阿弖流為を演じることを楽しみにしている様子を笑顔で語った。

続いて、勘九郎は「今の気持ちはうれしいの一言です! 本当に劇団☆新感線が大好きで、いつか出たいと思っていたのがこうして歌舞伎バージョンで参加させていただけて、本当に感無量です。『アテルイ』の初演を拝見した時、とにかく染五郎さんが本当に格好良かった。その格好いい阿弖流為役の染五郎さんと日々闘えることを誇りに思って、一生懸命努めます!」と作品に対する思いを語った。

さらに勘九郎は、中島といのうえに対し「私は“ネタもの”が大好きなので、これが成功してちょっとでも良かったら、次回はぜひ“ネタもの”の芝居に呼んでください! よろしくお願いします(笑)」と自身を売り込む一幕も。

七之助は「いま、兄は『楽しみ』と言っておりましたが、僕は怖さでいっぱいです。僕もずっと新感線の舞台は見ていまして、『こんなすごい人たちの中でよく芝居ができるな』って、染五郎兄さまを尊敬していました。僕ももちろん、初演の『アテルイ』は生で見ており、その伝説の舞台がまさか歌舞伎になって、しかも演じさせていただくっていうのが夢のようで…どうしようかなって(笑)。とにかく、お客さまに『歌舞伎化しない方が良かった』って思われないように頑張ります」と緊張の面持ちでコメントした。

中島は「いつか自分たちの作品がこういう形になればと思っていたので驚いていますし、最高のキャストの皆さんと一緒にできて光栄です。2002年に書いた脚本を読み返すと、非常にくだらないシーンやギャグが多くて…13年たって、若気の至りを思い知らされながら“歌舞伎バージョン”に書き直しました。より一層ドラマチックになっていますし、このお三方のドラマがより深いものになったと思います。今後何度も再演してもらえるような作品になればいいなと思っています」とコメント。

いのうえは、「初演の『アテルイ』は、ロックをガンガン流しながらやっていたような芝居だったんですけど、それをご覧になった先代の市川猿之助さんに『これはギャグを抜けばそのまま歌舞伎になるよ』とおっしゃっていただいたんです。当時、歌舞伎ってどうやって作るんだろうって思っていたので、心強いお言葉をいただいたのを覚えています。もともとこのアテルイは、染五郎君がいつか歌舞伎にしたいと思って温めていたものを、僕らが横取りしちゃったみたいな企画だったこともあったので、染五郎君の思いも含めて新しい形の歌舞伎にできるのはうれしいし、ワクワクします!」と初演時のエピソードも明かした。

また、いのうえは「“いのうえ歌舞伎”とどう違うの?っていう話ですが、歌舞伎は“生”“アナログ”ということかなと。マイクを通さずに生の声を後ろまで届くような芝居なので、そこに付随する音楽を乗せたい。芝居全編を通して音が鳴り続ける、いつものうるさい芝居ではないです(笑)」と演出や音楽についてもコメントした。

最後に染五郎が「初演から13年たって、『あのアテルイが歌舞伎化される』って言われて、『アテルイ』が一つのブランドになっているのを感じてとても感慨深いです。ぜひ歴史の1ページの生き証人として会場に足を運んでください!」とアピールし、製作発表が終了した。