9月9日(水)に最終話を迎える東山紀之主演ドラマ「刑事7人」(テレビ朝日系)。同作は難解な事件に挑む警視庁捜査一課12係の個性的な刑事たちが、空白の時間を埋めながら“事件のタイムライン”を緻密につなぎ合わせて事件を解決に導く刑事ドラマだ。
「相棒」や「警視庁捜査一課9係」、「遺留捜査」など、これまでにもさまざまな個性派刑事ドラマを生んできた“テレ朝水9”枠の最新作として、ミステリーファンの心をガッシリつかんで離さない。
主人公の天樹を演じる東山の他、高嶋政宏、倉科カナ、鈴木浩介、片岡愛之助、吉田鋼太郎、北大路欣也という豪華…いや、豪華過ぎるメンバーがドラマを彩ってきたが、彼らの演じる役がそれはそれは個性が強いキャラクターばかり。
おかわり3杯分くらいの高カロリーな(失礼!)キャラクターたちが繰り広げる、見応えたっぷりの捜査シーンは見どころの一つだが、そんな濃過ぎるドラマの“一服の清涼剤”といえるのが、北大路扮(ふん)する堂本教授が自宅で飼っている犬・てぶくろだ。
あまりのかわいさに、もはやメロメロになっている視聴者も多そうだが、てぶくろが起用されたのは北大路の出演交渉によるものなんだとか。その辺りを「刑事7人」のゼネラルプロデューサー・三輪祐見子氏に聞いた。
ミニチュアダックスフントとシーズーのミックス犬であるてぶくろは、実際は同ドラマのメーン監督を務める猪崎宣昭氏の飼い犬。今回ドラマに起用された理由とは?
「てぶくろは猪崎監督がいつも現場に連れて来られるのですが、衣装合わせの際も来ていたんです。ちょうど北大路さんの衣装合わせで、部屋のど真ん中でくつろいでいて(笑)、あまりにもかわいかったんでしょうね。北大路さん自ら『君ドラマに出るかい?』と、本人(犬)に“出演交渉”をして、出ることになりました。だから北大路さんがきっかけですね」
日本を代表するベテラン俳優の北大路を一発でとりこにした“役者”てぶくろは「かわいい!」「あの犬は何?」と言った声がSNSなどで拡散され、話題を集めている。
「そういう反響はうれしい限りですね。撮影の時はおとなしいんですよ。たまに編集所でほえることもありますが、たくさん大人がいても動じない。のほほんとマイペースなんです。もはや大物俳優ですね(笑)」
そんなてぶくろは自分の出番がなくても、撮影現場にたびたび現れることから、マスコットキャラのようにみんなにかわいがられながら撮影を見守ってきたという。
「北大路さんだけでなく、スタッフも全員仲良しですし、撮影の時は“ディレクターズチェア”に座っています(笑)。いつもおとなしく撮影を見ていますよ」
てぶくろは画面上で視聴者を癒やすだけでなく、連日大変な撮影を行ってきたスタッフや出演者を癒やす大切な存在のようだ。
一方、三輪氏もお気に入りだという階段や片桐係長(吉田)が9月2日放送の第8話でいじっていたサンドバッグ。そして、海外で撮って来た写真が置いてある帰国子女の環(倉科)の机や山下(片岡)のラボなど、てぶくろだけではなく、セットも細かなこだわりが詰まっている。
「細かい部分で、いろいろと試してみたのでそこに気付いてもらえたらうれしいですね。12係のセットは普通の刑事ドラマではなかなか見られないタイプのものになったと、自信を持って言えます」
さらに、先ほど濃過ぎると評させてもらったキャラクターについてのこだわりについては?
「差別化という意味で、キャラ同士が重ならないように。一人一人違う色を持ったキャラクターを配置してみました。このドラマには脚本家が複数いらっしゃるので、それぞれのキャラにも多面性があると思いますよ」
確かに、天樹が序盤から鋭い洞察力を見せつける回もあれば、永沢(鈴木)が環について「環サマ」と呼ぶシーンもあるなど、単に個性的なだけでなくいろいろな顔が見られる。
「“環サマ”は私も台本を読んでいて笑っちゃったんですけど、永沢っぽいですよね(笑)。そういう意味ではキャラをあまり固定せず、幅を広げられるようにしました。天樹も事件によっていろんな顔を見せられるように決め込まずに作って来ました。出演者の皆さんもベテランの方々なので、自分の役を踏まえていろいろと提案してくださいました」
9月9日(水)に最終回を迎える「刑事7人」という“個性派キャラの宝石箱”に入っているのは、ドラマに関わる全てのスタッフのこだわりと役者自身のアイデアが絡み合ってできた、ワンアンドオンリーの宝物なのだろう。
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