戦国時代の名将・真田信繁(幸村)の生涯を描く大河ドラマ「真田丸」(NHK総合ほか)。4月3日(日)の放送では、いよいよ真田家と宿敵・徳川家康(内野聖陽)が激突する第1次上田合戦が描かれる。徳川の大軍を、昌幸(草刈正雄)率いる真田家がどう迎え撃つのか。ラストには衝撃の結末も描かれる。
放送を前に、主人公・信繁役の堺雅人を直撃。上田合戦の見どころや、三谷幸喜の脚本について語ってもらった。
――4月3日(日)放送で描かれる第1次上田合戦の見どころを教えてください。
合戦シーンは、迫力はもちろん、三谷さんならではの変わった描き方が面白いです。僕が徳川の軍を挑発しておびき寄せるシーンが、鉄砲を持ってドンパチするような場面より長く描かれていて、そういった合戦シーンは僕は見たことがなかったです。
ただ、実際史実としても、城下に徳川軍を引きつけて戦ったところが昌幸の戦略の優れたところなので、すごくリアルだと言えますね。
とにかく、敵軍をバカにし続ける45分です(笑)。あの手この手で挑発しているので、撮影後はヘトヘトにもなりました。ただ、“人がなかなか死なない”というのは非常に三谷さんらしいなと思いました。
――具体的にはどういった挑発をされるのですか?
挑発の仕方でこだわったのは、上田の獅子舞の動きを取り入れたところです。ロケで訪れた時に上田の“三頭立ての獅子舞”を知って、野性味あふれる足さばきが面白いと感じたんです。
「どこかでこの動きを使えないかな」と思っていたんですが、挑発の動きに取り入れることにしたのは、 “山の民”としての真田らしさが出るんじゃないかと思ったからです。完全な自己満足なのですが、上田の人は「あの動き、どこかで…?」と思ってくれたらうれしいです。
――合戦シーンでは六文銭の旗も初めて登場しますが、実物をご覧になった時のご感想はいかがでしたか?
自分が、その後に旗を振ることは知っていたので、「重いな。もうちょっと小さくならないかな?」という気持ちでした(笑)。
ただ、ここで初めて六文銭が出てくるというのも面白いし、六文銭の旗を作るまでの、妻・梅(黒木華)とのちょっとしたやりとりも、心の触れ合いみたいなものを感じます。合戦の最後の衝撃的な展開も含めて、あらためて三谷さんのすごさを感じました。
――3月20日放送では、信繁の結婚が描かれ、子供も授かりました。父親になったということは、戦場に臨むに当たって信繁に変化をもたらしたのでしょうか?
結婚すること、そして父になることで、今まで地面を忘れてあちこち飛び跳ねてきた信繁が、初めて地面を意識するようなところはあると思います。そうさせるのが、黒木華さん演じる梅という存在だと思いますし、彼女と結婚することで信濃を心から愛することにもつながると思います。
ただ、祝言のシーンの裏で血なまぐさい事件があったように、この作品は “祝福と呪い”を同時に受けているようなシーンがずっと続きます。結婚することも、父になることもめでたいことなのですが、それに伴う責任と身動きの取れなさもある。
だから、いいことがあっても、そればかりではない。長編小説のように、一筋縄ではいかない作品だなと思います。
――ここまで上田を舞台にした13話を振り返ってのご感想をお願いします。
13話までは、1話1話がものすごくぎゅっぎゅっと詰まった感じがするんです。例えば、敵の大名のところに行って武将を調略する…となったら、調略だけを描いていながら1話の完成度が高い。本当に、1話だけ取って見ても面白い作品が13本並んだな思います。
1話1話に濃密な時間が流れているので、第13回の撮影が終わったのがちょうど年末だったのですが、ヘトヘトになった分、いい感じに正月休みに入れると思いました(笑)。後半からはまたリズムが変わってきて、ここまで見ていない人でも楽しめると思います。まるで、別クールのドラマだと思えるくらいです!
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