人生の岐路に立たされた3兄妹の姿を描くヒューマンコメディー映画「ディアーディアー」のBlu-ray・DVDが5月18日(水)から発売される。
同作は、ある地方都市で「リョウモウシカ」と呼ばれる幻の鹿を発見した3兄妹が、一躍時の人となる。だが、後にその目撃は虚偽とされ、3人は「うそつき」というレッテルを貼られてしまう。
その後、長男・冨士夫(桐生コウジ)は、家業を継ぎ老朽化した工場と借金を背負い、次男・義夫(斉藤陽一郎)はその出来事によって、精神を病んでしまい病院暮らしに。末娘・顕子(中村ゆり)は、離婚寸前の夫はいるものの、酒浸りの生活になっていた。
バラバラだった3人が父の危篤をきっかけに再会する。そんな顕子を演じた主演の中村ゆりに、演じることについて、今作に懸ける思い、役作り、見どころなど、ここでしか聞けないエピソードを聞いた。
――これまでにない特殊な役柄の顕子を演じられていかがでしたか?
この映画は顕子に限らずダメな人ばかりなのですが(笑)、でも私はそこがすごく好きなところで。どんな人にもダメな部分があるものだし、意識していとおしい部分をつくったりしないで、思いっ切りダメに演じようと思いました。
――役作りはどんなふうにされましたか?
3兄妹の話であり群像劇なので、3兄妹がちゃんと兄妹に見えないとつまらなくなってしまうと思ったので、事前にリハーサルをして3人のキャラクターやテンションを確認するという、準備をしました。
監督からは「(今までの中村さんにない)だらしない女をやってください」と言われたので、歩き方やたばこの吸い方、そういった気だるい感じを意識して演じました。
――顕子になりきるというスイッチはありましたか?
顕子に限らず、現場に入ってスイッチを入れます。
――演技のために日ごろから何かされていることはありますか?
「これをやっている」というよりは、台本に書いてあることだけでなくその背景にあるものを読み取っていく、その準備をすることですね。キャラクターをつくっていくことよりも、置かれている状況や時代を把握して(役の)外堀を埋めていくと、自然とその場に立てると思うので。
ただ、監督と話して自分が考えていたことと全然違うこともあるので、臨機応変に変えていくことも大事だし。いろんな作品を見て、勉強し続けることだと思います。
――そんな多忙な中村さんがリラックスするために何かされていることがあれば、お聞かせください。
全然ないですね(笑)。撮影現場にも何も持っていかないし、家に帰ってビールを飲むとか(笑)。お風呂が好きなので、ゆっくりお風呂に入って、切り離してリラックスすることかな!
――撮影中はどんなふうに過ごされていましたか?
タイトなスケジュールで、皆さん寝ずにすさまじい集中力で撮影していたので、皆さんで飲みに行ったりする時間はなくて。一人で近くにある居酒屋で飲んだことはありました(笑)。
――作品が上映されて、周りの方の反響はいかがでしたか?
細かいところにいろんな仕掛けがされているので、何度見ても発見があると思いますし、同世代の人からの反応が良かったですね。
それに、監督など映画業界の方々もたくさん見に来てくださって、「この時代にこういう映画を作れることがうらやましい」っていう声も頂きました。
――実際にどんな方に見てもらいたいですか?
張り切る気持ちが持てない人とか、心が疲れてる時に見てもらえたらいいのかなって思います。面倒くさいって思ってる時に手に取ってもらって、少しでもリラックスしてもらえたらなって思います。
――3兄妹の話ですが、中村さんはご兄弟とけんかしたことはありますか?
兄がいるので、昔はくだらないことでけんかしていたので、その経験はフルに生かして(笑)、兄妹間の温度とか雰囲気はつかみやすかったです。
――作品の見どころをお聞かせください。
3人ともみんな鹿に翻弄(ほんろう)されていますけど、でもその対象は鹿でもなんでも良かったのだと思います。若い時の栄光に縛られているだけで、自分で想像していたよりも成長できていないと感じている人っていっぱいいると思います。
鹿を他の物に置き換えたら、いろんなことが見えてくると思うし、見る側もいろんな答えがあると思います。(今作は)ヒーローもカッコいい人も出てこなくて、葬儀のシーンも不謹慎なのですが、そういうオフビートな心情を描いたところが魅力だと思います。
――今後、どんな役に挑戦されたいですか?
どんな役でもやりたいですけど、時代とか環境に翻弄されている女性とか、長きにわたって1人の人を演じてみたいですね。あと、コメディーも挑戦してみたいです!
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