尾野真千子が7月スタートの木曜ドラマ「はじめまして、愛しています。」(毎週木曜夜9:00-9:54テレビ朝日系)で、主演を務めることが分かった。
尾野は江口洋介と夫婦役で初共演し、過酷な条件が課せられる特殊な養子制度を題材に、“本当の家族とは何か”という普遍的なテーマに挑む。
脚本は社会現象にもなった「家政婦のミタ」('11年、日本テレビ系)をはじめ、多くの話題作を手掛ける遊川和彦。
尾野、江口、遊川とテレビ朝日の連続ドラマ初登場となる“はじめまして”の3人が、“本当の家族の愛”をセンセーショナルに問うホームドラマを描く。
尾野は「企画書の段階でまず、『はじめまして、愛しています。』というタイトルに興味を持ちました。その後いただいた台本には、今の時代に欠けてきている夫婦ということ、家族ということが遊川さん節でうまく書かれていて、挑戦できる作品になるんじゃないかという思いを抱きました」と明かす。
本作の題材は「特別養子縁組」という日本で唯一、血のつながらない他人同士が本当の家族として認められる実在の戸籍制度。対象となる子供の年齢が6歳までで、親になることを望む夫婦は6カ月以上に及ぶ試験期間を課せられ、さまざまな条件を審査される。
尾野と江口が演じる夫婦が、実の親に捨てられた見ず知らずの男の子の親になることを決断し、制度の利用を試みる。
江口はドラマのテーマについて「『特別養子縁組制度』と聞くと一見、社会派の重いテーマな印象を受けますが、遊川さんの脚本によって家族のあり方が温かく描かれています。最近は社会派作品への出演が続いていましたが、今回はホームドラマということでちょっと昔を思い出して(笑)、ポジティブな明るさを忘れず、心にジーンと響く物語をしっかり演じていきたいと思います」と語った。
尾野が演じるのは挫折続きのピアニスト・美奈で、江口は自他共に認めるお人よしの夫・信次。結婚10年になるが、ある理由から二人の間に子供はいない。そんな夫婦が突然、5歳児の親になるとしたら…という出来事に直面して見えるパートナーの本音や自らの欲求に戸惑う姿など、ドラマだからこそ踏み込めるリアルな感情があふれている。
尾野はピアニストである美奈を演じるに当たり「(挑戦ということについて)その一つがピアノ。すごいネックなんです(笑)。一番、苦手な楽器なので、今はピアニストに見えればいいなと願って練習しています」とアピールした。
夫婦の決断にさまざまな影響を与える重要な周辺人物には、尾野の父で世界的音楽家に藤竜也、それぞれの人生哲学を貫く江口の妹弟役に坂井真紀と速水もこみち。そして、養子縁組に審判を下す冷静な児童福祉のエキスパート役に余貴美子と豪華共演者が集結。
自宅でピアノ教室を開いている梅田美奈(尾野)は、新しい生徒にレッスンをするが子供の様子から音楽が好きではないと悟る。「無理にやらせても、上達しない」と美奈はあっさりレッスンを終了。期待を裏切られた母親は「有名指揮者の娘だって聞いたから来たのに!」と捨てぜりふを美奈に浴びせ、帰ってしまう。
頭を下げ、親子を見送る美奈はそのままトイレに駆け込み「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と便器に向かってうっぷんを吐き出す。これが、誰も知らない美奈の日常だった。
その晩、夫の信次(江口)から、近所でゴミをあさるなど不審な生き物がいるとのうわさを聞く。しかし、美奈は10代のころから目指し、出場はことしが最後だと決めている国際コンクールでの入賞に集中していた。そんな中、美奈がピアノの練習をしていると自宅の庭に不審なものが侵入。
美奈は恐る恐るその正体を確かめると、服も体も汚れ、無表情で何も喋らない素性は何一つ分からない男の子だった。その後、男の子は親から虐待を受けていたことが判明し、親の姿も確認できないことから養護施設に入る。
しかし、数日後その男の子は再び梅田家の庭に姿を現す。二度も自分の家にやってきたことで運命めいたものを感じた信次は、ひそかに特別養子縁組について調べ始める。
尾野は「物語は、私が演じる妻の都合で“まだ”子どもがいない夫婦のところに、急に自分の子ではない、血のつながりのない子どもがやってくるところから始まります。どういう形で愛していくのか。簡単な気持ちではなく、戦いながら、愛が生まれていく過程を正面から演じていけたらいいなと思います」と意気込んだ。
一方、江口は「僕自身子どもの成長を通して、親子の関係性だけでなく夫婦の形も変わってきたなと最近感じます。このドラマはまさにそういう変化を、しかも他人の子どもを迎えるという中で描いています。日常の中で流れていってしまうこと、家族同士でもなかなか話さないことの中に、本当は一番大事なことがあると気付かされる、そんなドラマになると思います」と期待を込めた。
そして、脚本を務める遊川は「今作のテーマは愛を伝えること。今の時代にしか描けないホームドラマになる予感があって、『特別養子縁組』を題材にしました。今は自己愛に満ちている時代だからこそ、他者に愛を伝えることを大事にしたい。『はじめまして』と出会った人に、『愛しています』と伝えるまでが人生でしょ。
登場人物は、みんな愛を伝えることに問題を抱えている人々。それは僕自身にも言えて、他の人よりも愛にあふれていると思っているんだけど、それが誰にも伝わらない。そこで悩み、もがくことが人生そのもので、一生できなくてもやり続けることに意味があるんだと考えます」と思いを明かした。
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