江口洋介「“OK牧場”は口癖になりそう!」

2016/08/10 07:01 配信

ドラマ

「はじめまして、愛しています。」で美奈(尾野真千子)の夫・信次を演じる江口洋介(C)テレビ朝日

テレビ朝日系で毎週木曜に放送中の尾野真千子主演ドラマ「はじめまして、愛しています。」(夜9:00-9:54)で、美奈(尾野)の夫・梅田信次を演じる江口洋介にインタビューを行った。

本作は、特別養子縁組を題材に、子供のいない一組の夫婦が親に捨てられた見ず知らずの5歳の男の子を自分の子供にしようと決め、“本当の家族”になろうと奮闘する6カ月の物語。

――江口さんが演じられている信次について教えてください。

人の喜びを自分の喜びのように思い、正直で真っすぐで一生懸命な人です。何より、美奈との出会いから人生が変わりましたね。信次は決して表現がうまい訳ではないのですが、止まらずに常に言葉を発し続けていて、場の空気を良くしようと盛り上げようとしたり、自分を上げていかないと生きていけない。

なぜそうなってしまったのかという過去が今後、明らかになってくるのかな。実はどこか無理をして生きている男、という感じで捉えています。

――今後、信次の意外な一面も見えてきますか?

信次は異常なくらいテンションが高いですからね(笑)。でも、そういった人は一人になった時にスッと真顔になったりしますよね。そういった部分、信次の真顔の部分がこれから出てくるんじゃないかな。信次と家族との間できっかけになるような大きな出来事があり、こういった性格になった。今までと違う信次の一面を演じられるのを楽しみに待っています。

――今回、尾野さんとは夫婦役で初共演ですが演じていてどうですか?

ものすごくフラットな方だな…と!「この人、NG出さないだろうな…」とずっと思っていました(笑)。尾野さんは美奈を体を張って演じています。お会いする前は、女優さんとして正統派の部分と野性的な部分を持ち、すごく個性的な女優さんだなと思っていました。

お会いすると、普段は友達のように接してくれて、いい距離感を作りながら「いい夫婦をどう見せていこうかな」と努力を一緒にしたくなる女優さんです。

――ハジメ役の横山歩君の印象を教えてください。

感性が強くて負けず嫌いな子ですね! 俳優に向いているんじゃないですかね(笑)。演じることがすごく好きみたいで、一生懸命やっています。大人っぽい部分もあれば、子供の部分もあって。信次たちがハジメの寝顔を見るシーンがあったんですが、本当に寝ちゃったんですよ! 

でも、目を閉じるだけのテストの顔と、本当に寝ている顔は全然違うんですね。力が抜けて、スタッフも「今、撮って!」なんて言いながら、本当に演じているのか、その子の素なのか行ったり来たりしていて楽しいですよ! このまま大きくなってほしいなと思いますね。

――信次の「OK牧場」というせりふが頻繁に出てきますね。

口癖になりそうですね(笑)。頻繁に言っていますから。自分の私生活にも影響を及ぼしそうな気がします…。信次は「OK」よりも「OK牧場」と言って、場を和ませながら確認をしたいタイプの男なんでしょうね。不器用な男の伝え方なんです。

でも、僕も私生活で信次のような行動をしているかもしれません。笑いを絶やさずに自分が努力しているな、って時もありますし、伝えられないものは笑いで返したり、無意識でしているんでしょうね。信次を通して、自分もそういった部分があるなと気付きました。

――信次はよく“運命”を主張しますが、江口さん自身が運命と感じた出来事はありますか?

僕が出演した映画の主人公の名前が偶然にも“江口洋助”で、その映画のオーディションに受かって、主演をやらせてもらって…と。今、振り返ると運命というか、運が良かったというか。この仕事をずっとやっていますけど、同じ名前の役名をやることはなかなかないですからね(笑)。一生に一度のことだと思いますし、僕の中であそこから始まっている、という気持ちもあります。この経験は大きかったのかな…。

――“運命”はどんな時に感じますか?

自分で「こうしよう!」と思う前に、何かこれは新しい方向に向かうんじゃないか?という、自分の思い描いていたもの以外に何か大きな流れの中に吸い込まれるような、思わず気持ちが動いてしまう時に“運命”を感じて、人は動いているのではないかなと思います。その力は計算よりはるかに強いものだと思いますね。その瞬間を信次はちゃんと「これは運命だ!」とキャッチして、どんどん前に進めるタイプ。振り返って「これは運命だな」と思うことはあるけど、これからは信次みたいになりたいな。「これは運命だな」「この作品に出合えたことは運命」「今日、こういうことがあったのは運命」と、日常生活の中でささいなことでも気付いていくと、豊かになるんじゃないかなと思います。

――これから“運命”と感じることが増えていくかもしれないですね。

そうですね。ここで僕がこの作品に出演したことも運命ですね(笑)。もちろん、スタッフの人と出会って、脚本の遊川(和彦)さんから熱い思いをぶつけられたことも。それに応えたいなと思うし、一つ一つが必然とまではいかないかもしれないけど、大きな流れの中で心地よいなと信次をやりながら実感しています。

最近は社会派の作品の出演が多かったのでく、久々にホームドラマを思いっきりやらせてもらっていて、撮影が終わったら次やる仕事などに影響を及ぼすと思いますよ(笑)。俳優は流れが大事だと思っています。

――ドラマの魅力を教えてください。

家族や夫婦は意外と大したことを話してないんですよね。実は昔の話だったり、打ち明けていないことが結構あったりするのかも。このドラマでは、子供を養子にしたことから美奈と信次の2人が本当の意味で向き合っていく。子供を通してお互い背負っているものを怖がらずにむき出しにしていき、新しい形になっていく。

自分の子供だとそこまでダイレクトにできないかもしれないけれど、この特別養子縁組の過程で試されているのかな。メールなどで常にレスポンスできる世の中だけど、逃げないでそこに向かって相手を見ながら向き合うことが大事だと思っています。

社会派の部分もありますけど、このドラマを通して見ている人が自分の夫婦観、家族観、これから結婚する人は子供について、子供を持っている人は自分の子供について、会話の中で一歩攻め込める。そういったきっかけになるドラマになるんじゃないかなと思います。

それを説教くさくならない遊川さんの脚本に驚きです。今、問題になっていることにぎゅーっと迫っていき、現実を突き付けていく、それが見どころです。