余貴美子「笑わない努力をするのは難しかったです」

2016/08/17 12:24 配信

ドラマ

「はじめまして、愛しています。」で堂本真知を演じる余貴美子

毎週木曜夜9時より放送中の尾野真千子主演ドラマ「はじめまして、愛しています。」(テレビ朝日系)で、児童相談所のベテラン職員・堂本真知を演じる余貴美子にインタビューを敢行。

本作へ出演した感想や運命の出会いなどについて話を聞いた。

――あらためて今回のオファーを受けて、感想を教えてください。

私、脚本の遊川和彦さんのファンなんです。とげがあって、どこかスリルのある会話劇が好きで、またご一緒できて本当に良かったと思いました。以前、連続テレビ小説「純と愛」('12~'13年、NHK総合ほか)でご一緒させていただいて、もう一度お会いしたいなと思っていたので純粋にうれしかったです。

――特別養子縁組制度についてはご存じでしたか?

私、実はこの作品のお話を頂く前に「マザーズ 産みの親は誰ですか。」(日本テレビ系)という、養子の子が自分はどこからきたのか、ルーツ探しの苦悩と戸惑いに迫る番組でナレーションをやっていたんです。

その後に偶然このドラマのお話がありましたので、遊川さんもそれをご覧になっていて「何か縁があるな」と言ってくださっていて。どういうことなのかというのもちょっと知識がありました。でも、実際にドラマに入ってみると、知らないことの方が断然多かったです。

――今回の役への取り組みで意識されていることはありますか?

ドラマでは、実際には違うんだけどいろいろと制約があって本当のことができないということもあるので、その辺は葛藤しながらも前向きに演じています。

真知は温かい目で子供と向き合うことや、自分のことよりも人の幸せを考えられる人ということで、自分とは真逆な人なので(笑)、そういうところをどうしたらいいか必死に考えながら演じております。

――パッと見、厳しい中にも優しさがあるという役柄ですよね。

そうですね。そのあたりは台本を読んでいて思ったので、まずは全然笑わない雰囲気を意識しました。私、普段はいつもヘラヘラしちゃうので、笑わない努力をするのは難しかったですね。

やっぱり誰に対してもムスッとしているより、感じよくしていきたいじゃないですか(笑)。でも、あまり表情の変化を出さないように監督とも相談して心掛けています。

――シビアな作品ですが、現場の雰囲気はどんな感じでしょうか?

子供たちともみんな仲良くしていますよ。彼らはまだ子供なんですけど、やっぱり男の子ですね。

男優同士で敵対心を持っていて、「誰が一番格好いいと思いますか?」って尾野真千子さんに聞いているのが面白かったです(笑)。あ、小さくてもやっぱり男の子なんだなあと。

――個人的には真知の大人たちへの態度と子供たちとの態度にすごくギャップがあって、驚きました。

そうですか? やっぱりそういうものなのかなって思って、自然とそう接しているんですよ(笑)。あそこにいる子供たちは、何らかの理由で親元を離れた子。

そういう子と接しているから、自然と柔らかく接することになるのかなと思っています。もちろん何が正解なのかは分からないですが。

――ビジュアルに関してはどうですか?

あの眼鏡は私の自前の物なんです。自分でしていた眼鏡を現場に持ってきて、衣装合わせをしたところこれがいいなと。格好いいなと思ってかけていたんですけど、それがまんまと使われました(笑)。

――このドラマは、常に毎回続きが気になる終わり方をされますよね。

毎回一旦は完結と言いますか、ホッとする展開になるのに、また何か起こりそうな展開が最後に待っていますよね。

絶対にずっと幸せではいられないというか、何かしら不幸が待っているというか。スリル満点な展開の仕方だと思います。あと、美奈(尾野)の心の声がちゃんと聞けるというのもリアルですし、視聴者の方が共感できる部分もたくさんありますよね。

――養子縁組と縁がない人でも何か感じることがありそうですね。余さんはどう感じましたか?

血のつながりがなくても子供を大事にする人がいれば、本当に血がつながっていても虐待してしまうひどい親もいるわけで。そういう血のつながりがなくても描ける愛というのもあるんだなと考えさせられました。

同様に血がつながっていても愛を表現できない人もいるので、その辺のことも深く考えさせられる作品だなと思っています。

――ドラマにちなんで、運命の出会いや運命を感じるエピソードはありましたか?

運命ですか…。私、今の主人と一緒になるとき、お互いの実家の電話番号、下4ケタが全く一緒だったんですよ! 

つまらないことですいません、確か「0595」でした(笑)。確率的になかなかないですよね。番号が全く同じなんて。それはいま思えば運命だったなと感じています。

――信次(江口洋介)だったらその4ケタで語呂合わせするんでしょうね(笑)。

確かにそうでしょうね!(笑) すいません、なかなか気が利いたことは思い付かず…。

――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

現実問題として、親元を離れることになってしまった子供たちがたくさんいます。そういった現状や、特別養子縁組に関するいろんなことを知ることができるドラマになっていますし、それでいてちょっと日常の面白いやりとりも入っている。

遊川さん節のちょっと笑えるドラマになっていて、知りたい気持ちや感動したい気持ちもいっぺんに味わえる作品だと思いますので、最後までご覧ください。