大河ドラマ「真田丸」(NHK総合ほか)が、12月18日の放送で最終回を迎えた。
「真田丸」は、戦国武将・真田幸村(信繁)の生涯を、三谷幸喜脚本・堺雅人主演で描いてきた。
最終回ではスピンオフに登場した「ダメ田十勇士」の面々がついに本編に登場するなど、最後まで小ネタも回収しながら物語が進行。
だがもちろん、メインは幸村と徳川家康(内野聖陽)の最終決戦の行方だ。家康の首を狙い、その本陣に突き進む幸村。これは、初回冒頭と同じシーン。
堺は、最終回前のインタビューで「ここまで演じてきた分、向かうべき家康の姿もはっきりしていて、そこに至るジグザグのルートもしっかり見えている。すべてが具体的になった」と明かし、「情緒やしみじみした思いはどんどんなくなり、実務者の顔になっていった気がします」と語っていた。
やがて実務者・幸村により家康は追い詰められ、若き日の“伊賀越え”を思い起こさせるような逃亡を見せる。しかし、幸村が家康を射程に捉えたとき、すでに戦局は変わっていた。
馬上筒を構える幸村と、覚悟を決める家康。そこへ将軍・秀忠(星野源)が到着する。決定機を逃した幸村は、佐助(藤井隆)と共にその場を脱出するが、二人は命運が尽きたことを悟る。
ラストでは、大坂から江戸に戻る信之(大泉洋)と、道中で一緒になった本多正信(近藤正臣)にカメラが向く。二人が語り合っているところに、大坂城落城の知らせが届き、正信と別れた信之は、ふたたび歩みを始める。弟と対照的な生き方を選んだ信之が、生き延びて真田家をつないでいく姿を予感させるものだった。
実は、三谷はインタビューで、このラストシーンについての秘話を明かしていた。
以前から近藤のファンだったという三谷は、「近藤正臣さんが演じられることで、本多正信にすごく人間味、深みが出てきて、どこかで『真田丸』は正信で終わるんじゃないか、とふと思ったんです」と振り返る。「正信が信之に何か影響を与えて、信之が信濃松代藩の礎を築くことにつながる…そんな想像から段々、最終回のラストシーンが見えてきた」と言うのだ。
こうして、幸村の死を描くだけでなく、真田家の未来を予感させる最終回が生まれた。
三谷は、「近藤さんが正信を演じられたから見えたことで、そうでなければ僕はこういう結末にしなかったと思うんです。僕は元々近藤さんが大好きで、大河ドラマでも『国盗り物語』('73年)の明智光秀と、『黄金の日日』('78年)の石田三成は強烈に印象に残っているので、近藤さんに最後を締めてもらえたのはすごくうれしかったです」と喜びを語っていた。
そんな三谷は、「まだ(大河への)恩返しが足りていない」と今後の大河執筆に意欲を見せ、堺も「(次の作品を)すぐにでもやりたい。九度山のスピンオフでも」とこちらも準備万端の様子。
二人の、そして名演を見せた数々の俳優たちの次回作が待ちきれないところだが、まずは12月24日(土)昼1時5分からの最終回再放送、そして12月30日(金)昼0時15分からの総集編(いずれもNHK総合)で「真田丸」の余韻に浸ろう。
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