高橋一生「『民王』以降、出演する全ての作品が転機」

2017/02/23 02:16 配信

ドラマ

「カルテット」で高橋が諭高として口にする言葉は全てセリフだと言う(C)TBS

大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK総合ほか)ではお家の問題から哀しき宿命を背負う小野政次を繊細に、「カルテット」(TBS系)では理屈っぽくて個性的な持論を展開するビオラ担当の家森諭高を軽妙に演じている高橋一生。全く別の時代の異なる背景を持つ役柄を同時期に演じ分けることについて尋ねると。

「(役柄の)切り替えは特にしていないです。『―直虎』の現場に入れば政次になって、『カルテット』の現場に行けば諭高になるだけです」

そう言って穏やかに笑う高橋だが「―直虎」で演じている政次は次第に抑えていた闇が表面化していく。そして、ある時期を迎えると、主人公である直虎(柴咲コウ)と一線を引く存在として向き合うことになる。

「政次としては直虎と線を引くという理性的な行為にもなっていないです。僕は政次がある瞬間に、一度死んだという感覚があって。ゲームで言えば、“1機、死んだ”というか(笑)。そこは演出の(渡辺)一貴さんと話したので、そういうシーンがあると思います。それでも死に切れない政次は、グチャグチャになりながらも這い上がってくるんですけれど。よく“哀しいですね、政次は”と言われるんですけれど、本人は哀しくないですから(笑)。夢中で生きているだけなんです。それが切ないのか、哀しいのか、判断するのは見ている方にお任せします。僕は脚本に書かれていることを忠実に演じながら、その世界に入ったときの自分の感覚、目の前に居て下さる共演者、そして演出を大切にしていきたいと思っています」

一方で、『カルテット』は主要人物4人の会話、関係性、背景、それぞれが抱える問題などが、まさに四重奏を奏でるように絶妙なバランスで展開されていく。特に、4人の会話は日常的な空気感を保ち、軽やかだ。

「僕らは“素だか何だか分かんなくなっちゃいそう”とよく言っています。(脚本家の)坂元(裕二)さんは意図的にそう書いていると思いますけれど。“どこまでがアドリブですか?”とよく聞かれます。一言もアドリブはないんです。それがアドリブに見えるというのは作られた生感というか、エセ・リアリティーがリアリティーを凌駕しているんでしょう。カラオケやカーリングのシーンもお芝居です。カットがかかれば、みんな我に返っていますから。そういう意味でも新しい脚本なんだと思います」

今、冬ドラマに2本出演し、注目され話題になることも多い高橋。だが、本人は「僕は何も変わってないんです」と笑う。「Woman」「民王」を転機だったと話す高橋だが、新たな転機となった作品はあるのだろうか。

「『民王』以降は、全部が転機です。『Woman』が根源的な転機だと思う作品ですけれど、そこから『民王』に出た後は、全ての作品が転機になっています。例えば、昨年のクリスマスのスペシャルドラマ『わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』(フジ系)。“おまえの口をふさいでやる”的なキスをしてエンディングを迎えるドラマにまさか自分が出るとは思っていませんでした。これも転機(笑)。実は、いわゆるトレンディードラマに出演したかったんです。“なぜ、話をいただけないのかな”と思っていたら、あのドラマの話をいただいて“やったあ!”と。そう捉えると、全部転機なんです。『僕のヤバイ妻』(16年フジ系)もあんなに面白がれるドラマはなかったです。まさか自分がすごく有能なレンタル夫だったなんて。(キムラ)緑子さんとキスもして。そういえば、昨年はキスシーンが多かったんです。こんなにキスをすることがあるのかというぐらいキスをして…、これも転機です(笑)」

と自身の転機について語った高橋。現在発売中の週刊ザテレビジョン3月3日号では、このインタビューの全文を掲載。最近リラックスした瞬間や好きな音楽などプライベートなことも語っている。

あらいかわこうじ

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