<大豆田とわ子と三人の元夫>佐野亜裕美Pが制作の経緯を明かす「最初は男女逆で、男性の弁護士が主人公で」【インタビュー前編】

2021/05/29 07:00 配信

ドラマ インタビュー

【写真を見る】とわ子(松たか子)の家を訪れた八作(松田龍平)、鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生)(C)カンテレ

――元夫役をこの3人のキャストに決めた理由を教えてください。

この3人は3人のバランスが大事なので、3人同時に当たって全員OKか全員だめかしかないと思いました。この3人のうち一人だけOKだったとしても、残りの二人のキャストバランスをどうしようとなるので。年代別に一人はアラサー、一人はアラフォー、一人はもう少し上の40代後半がいいなとまずは年齢だけ坂元さんと決めました。

それぞれの年齢に見える役者さんと坂元さんや私がこの人とやりたいなと思う人を書いて、その中でこの3人にオファーすることにしました。特に龍平さんは、松さんと共演となると「カルテット」と重なり過ぎてしまうかなと思いすごく悩みました。

でも、「カルテット」の後に、本当に個人的な思いですが、もっともっと艶やかで魅力的な龍平さんを見られるのではないかと思うところもあって、今回はある意味そのリベンジとしてお願いしました。

岡田さんは超がつく美形なんですけど、底知れない迫力があって、松さんと並ぶとなんだか不穏な雰囲気でソワソワする感じがあって、それが見たいなと思いお願いしました。角田さんは坂元さんが東京03さんのファンで、角田さんの名前を出してきてくれて。お話を回してくれる人が必要だし、その後に角田さんのコントをたくさん見て、本当に演技がうまいと感じ、役者として天才的だなと思いお願いしました。

――全体の映像の質感や、登場人物たちの衣装など、“おしゃれ”な雰囲気が漂う作品。このようにしていこうという方向は、どう決めていったのか教えてください。

初期段階で、坂元さんからスクリューボール・コメディー(1930年代~40年代のハリウッドで流行した都市部の上流階級たちが主人公のラブコメディー)をやりたいと言われました。最後まで悩んだのは、コロナの世界を扱うかどうかです。ただ、やっぱり自分たちがマスクをして生活をしなくてはいけない苦しい状況の中で、コロナ禍の人たちを見たいという人もいると思うし、見たくないという人もいると思います。

結果として私たちは、やっぱりパラレルワールドだけど、コロナのない楽しい世界の話をコメディーとしてやりたいと決めました。

今回は衣装にも音楽にも徹底的にこだわろうと、今の東京を生きる人たちがすてきだなと思えるようにしようと考えました。偶然知り合ったスタイリストの伊賀大介さんが参加してくださると言ってくださり、今回、とわ子のファッションを担当してくれている杉本学子さんも伊賀さんが引き入れてくれました。

面白そうと思うことを今回は全部やろうと決めたので、楽しそうな人をどんどん集めて作りました。最初に仕上がりイメージがあって作っていったわけではなく、スクリューボール・コメディーにすることを決めてから、そこに肉付けしていきました。

音楽の坂東祐大さんも友人からの紹介でご一緒することになりましたし、このような人と人とのつながりや、たまたま私が出会ったものを引き込んで制作しています。とにかく思いっきり楽しいすてきなドラマを作りたいと思って集まったチームです。