ただ、小鳥遊がマレーシア移住計画を語った場面で、とわ子は違和感を抱く。素敵な建築様式の邸宅の写真を見せられたとわ子が「いつか自分でもこういう家を作ってみたいなって」と言った後、小鳥遊が「素敵ですもんねぇ、夢がかないますね」とほほ笑んだときのこと。この「夢がかないますね」を聞いた瞬間のとわ子の顔には、セリフにはない「ん?」という心の表情が浮かんだ。
とわ子にとって、他人が用意した夢の完成形に乗っかることは「夢がかなう」ことではない。小鳥遊がたとえ「この人素敵だなぁ」「一緒にいて安心できるな」という人であっても、とわ子は別れを選んだのである。
4度目の結婚を白紙に戻して、とわ子は1番目の元夫・八作(松田)の元に向かう。話を聞き八作は「手に入ったものに自分を合わせるより、手に入らないものを眺めている方が楽しいんじゃない?」と、多くを語らずともドンピシャにとわ子の心情を理解する。
「あなたと結婚して良かったよ。今でも好きだよ」と告げるとわ子に「両思いだ」と返す八作。しかし、とわ子は「あなたを選んで、一人で生きることにした」と、八作と自分の心には亡き親友・かごめ(市川実日子)が存在し続けていることを話し「今だってここにいる気がするんだもん、3人いたら恋愛にはならないよ」「3人で生きていこうよ、かごめのどんなところが好きだった?」と、思い出を振り返った。
とわ子と八作は自分たちがもし離婚していなかったら「どんな夫婦になってたんだろね」と“もしもの夫婦生活”を想像する。くだらないケンカを繰り返し、娘のお父さん&お母さんという役目もこなし、仲直りも段々うまくなっていく…など、長年寄り添う夫婦の姿をイメージして語り合う2人。
「でも不思議だよね。生まれたときは他人だったのに」と寝そべりながらほほ笑み合い、「夫婦なんて、強いところじゃなくて、弱いところでつながってるものなんじゃないの」と理解し合う。ここまで心が通じ合う2人であってもうまくいかない結婚というものもあるのだ。
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