中村仲蔵のことは父(十八代目・中村勘三郎)が三代目仲蔵の伝記「手前味噌」に大変感銘を受け愛読していたので、よく聞いていました。仲蔵ゆかりの志賀山三番叟を踊ったこともあります。
江戸時代、初代勘三郎が興した中村座に出演し、中村座を救った人でもあるので、その役を演じられることに不思議な縁を感じます。今回とても素晴らしい芝居小屋のセットに足を踏み入れ、思わず泣きました。持って帰りたい!仲蔵は差別を受け大変苦労した人ですが、芝居が好きという情熱に支えられていたと思います。「好き」こそ人を奮い立たせ、上達させ、信念を与えるものです。そんな情熱を感じていただけたら本望です。
「令和元年版 怪談牡丹燈籠」以来、再び源(孝志)監督のもとでお芝居ができることが心底うれしいです。脚本はやはり本当に面白く、夢中で読んでしまいました。
お岸は、こんな女房が家で待っていたら愉しいだろうな、というような女性です。三味線と唄で仲蔵さんを癒やし、励まし、勇気づけられるよう、朗らかに務めたいと思います。これ以上ないほど豪華な出演者の皆様による「芝居」の真髄。もうすでに完成が待ち遠しいです。ぜひご期待ください。
僕の撮影は2日間だけでしたが、内容の濃い2日間でした。
勘九郎さんと空気を合わせて、芝居を作っていく感じがとても楽しかったです。「もっともっと一緒に演っていたいな」って思わせてくれるような人ですね。
刀や傘のさばき方は非常に難しかったですが子供のころから厳しく作法を仕込まれている歌舞伎俳優さんから直接教えてもらえたのは貴重な経験でした。最初から最後まで楽しめる贅沢な作品になると思います。
勘九郎さんが仲蔵を演じられるのは、ピッタリだと思いますが、その仲蔵をいじめる狂言作者の役と
いうことで演じがいがあります。
今も昔も嫌味な演出家やプロデューサーはいて、大人の事情で配役が決まったりとかあったのでしょうね。みんな芝居が心底好きでそのためなら命がけというのも一緒でしょう。ヒエラルキーの厳しい世界で成り上がっていくサクセスストーリーですが、そうそう簡単に成功はさせませんよ。大きな障害として立ちはだかって仲蔵をいじめたいです。(笑)
歌舞伎は昔から演技の勉強のために拝見していました。勘三郎さん(十八代目)の芝居に感激してファンレターを送ったこともあります。今回歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび。天国で勘三郎さんもびっくりしていることでしょう。
歌舞伎は見るとやるとでは大違い!ミュージカルでも「歌いすぎるな、芝居しろ」と言いますが、歌舞伎独特の語調の心地よさを感じさせながら、ぐっと芝居心を入れるのにはどうすればいいのか、悩みながら一生懸命演じています。
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