――「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」(共に'16年TBS系)の演出も手掛けられました。今回はだいぶテイストが違う作品でしたね。
テイストは違いますが、「重版出来!」も「逃げ恥」も「カルテット」も、特別な人たちではなく、どこか上手に生きられていない、そんな愛すべき人たちの話だと思って創っていました。立派なことを成し遂げた立派な人の話よりは、どこか欠落していて、ダメなところがあって、それでもなんか生きていくことに前向きでいようとする、そういう人間を描きたいなといつも思っています。最終的には「人生って悪いものじゃないな」ってささやかなエールを送れるような。そもそも人間ってみんないい部分もダメな部分もあって、嘘や秘密を抱えながら生きている、そのグレーなゾーンを今回は特に色濃く描きたいなと思っていました。
――今回の作品では、どのあたりにこだわられましたか?
今回の作品は、4人が食事をしながらしゃべるシーンがたくさんありました。ちゃんと食べながら会話をする、せりふを喋るというのは、実はとても難しいことなんですが、彼らがそこを本当にちゃんとやってくれたので、私たちが実際に起きている彼らのやりとりをこっちからのぞき見しているようなリアリティーが生まれたと思います。本当にすごい役者さんたちだなあと思います。
真紀のせりふにもありましたが、「食べる」ことは「生きる」ことに直結することでもありますから、実は食事のシーンはとても大事なシーンだと思って撮っていました。
※その他の受賞結果・各部門の順位詳細などに関しては、5月10日発売の週刊ザテレビジョン20号にて掲載中。
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