そんな房子の魅力に触れ、仕事の楽しさをあらためて感じた暢子は、愛に「うちもいつかオーナーみたいになりたいさぁ」と嬉しそうに話し、「今は、料理の仕事にちむどんどんしてる」と語った。
ドラマのタイトルでもあり、幼少期から幾度となく暢子が口にしてきた“ちむどんどん”。その言葉には、胸がわくわく高鳴ることに突き進んでいけばきっと人生幸せだ、そんな意味が込められているようだ。
「ちむどんどん」では、そんなメッセージを伝える大人が房子一人ではない。暢子の直属の上司である料理長・二ツ橋(高嶋政伸)は、自分自身の恋煩いの経験を暢子に話し「もん絶するような恋の悩みを、料理に集中することで成長を遂げた」と回想。人生の先輩として、恋愛とは違う道で“ちむどんどん”する道を示した。
さらに、暢子と同じように恋愛・結婚と仕事との狭間で思い悩む愛には、新聞社の上司・田良島(山中崇)が背中を押す場面も。
自分の考えた企画を諦めようとする愛に、「諦めるのか?自分の幸せを。幸せは結果ではない。ワクワクして夢に向かって頑張る。それが幸せってもんじゃないのか?指くわえて待ってても、幸せは訪れない」と語ってみせた田良島。それはまさに今作で語られている“ちむどんどん”の精神そのものだ。
思い悩む若者たちを粋な言葉や行動で導く素敵な大人の存在も、連続テレビ小説の見どころの一つ。最近でも「半分、青い。」の秋風羽織(豊川悦司)や「スカーレット」の大久保のぶ子(三林京子)、「おかえりモネ」の朝岡覚(西島秀俊)や「カムカムエヴリバディ」の伴虚無蔵(松重豊)が話題を集めたのが記憶に新しい。
青春とはあれこれ思い悩むこと。自分にしか答えを見つけられない問いにぶつかる暢子たちを温かく見守る素敵な大人にも注目したい。(文=ザテレビジョンドラマ部)