――病から目を覚ました時に、家族がそばにいなかった頼家ですが、どのような気持ちだったと思いますか?
絶望と怒り、悲しみを感じていたと思います。頭が真っ白になるような、言葉ではとても表しがたい感情だったのではないでしょうか。
――頼家は、誰に対して一番怒りや裏切られたと感じていたと思いますか?
信頼しようとする思いが強ければ強いほど、裏切られた時の怒りや絶望は強くなると思うので、そういう意味では北条です。頼家にとって義時(小栗)は、心のお兄ちゃんというか、いつも支えてくれていた存在だったので、そこに対しての怒りはあったと思います。
――これまで演じてきた中で、印象に残っているシーンはありますか?
蹴鞠(けまり)をしているシーンは印象に残っています。自分の中でも頼家を知る良いきっかけになったシーンだと感じていて、頼家は誰を信じて、誰を頼ったらいいのか分からずにいたと思います。大人たちに囲まれて、パンクしそうだった頼家ですが、そういう気持ちを蹴鞠で紛らわせようとしていたのかなと思います。
――今回演じていく中でどのような頼家像を作ることができたと思いますか?
生まれた時からいずれは鎌倉殿になるというのは決まっていて、「頑張ろう」「父を超えよう」「鎌倉を良くしたい」という気持ちはとても強かったと思います。ただ、あまりにも早い段階で鎌倉殿になって、周りからも「あいつでいいのか」と思われ、頼家自身も本当に自分でいいのかということを感じていたと思います。
何をしても源頼朝(大泉洋)という存在と比べられて、頼朝の存在や跡を継ぐことの重みをとても感じていたと思います。だからこそ、父と同じことをするのではなく、どこか開き直った部分もあったのではないかなと。18歳で征夷大将軍になるということは、相当な重圧があって不安だったと思うので、そういった部分が垣間見えたらいいなと思って演じました。
――頼家はどのような世の中を作りたかったと思いますか?
頼朝と政子(小池)の息子ということだけあって、本当に才能に恵まれた人だということは聞いていました。ただ、御家人たちと争うことになってしまったのが良くなかったのかなと思います。もっと人を信じたり、弱みを見せたりできていれば、もう少しうまくいったかもしれないなと。でもあの時代で人を信じるということの難しさもあったと感じました。