実朝亡き後、独裁者のようになっていった義時について「この人は生真面目なのです。すべてこの鎌倉を守るため。一度たりとも私欲に走ったことはありません」ときっぱり語り、「選ぶ道は二つ。未来永劫西のいいなりになるか、戦って坂東武者の世をつくるか。ならば、答えは決まっています」と畳みかけた。
実の父の失脚、相次ぐ我が子の死を乗り越えて“尼将軍”を名乗り、政治を取り仕切ろうとした北条政子は、その想像を超えた強さからしばしば“悪女”のイメージで語られてきた。だが、「鎌倉殿の13人」で三谷幸喜氏が描いたのは、それとはまったく違う政子像だった。
三谷氏は、10月9日に放送された「『鎌倉殿の13人』応援感謝!ウラ話トークSP」にVTR出演し、「僕はどうしても、(政子が)悪女に見えないんですよ。その都度彼女は必死だったし、そうでなければいけない。母として妻として選択をしていっただけであって、彼女の中には全然“悪”は見えなかったんですね。いつ北条政子はあの悪女になるのか? ならないんです」と語っていた。
今作の政子はその言葉どおり、どんな時も家族を大事にする人物だ。愛する夫のため、わが子のための判断が、時代のうねりの中で裏目に出て、悲劇を招くこともあった。だが“尼将軍”を名乗ったのも、妹・実衣(宮澤エマ)を守るためだ。
毅然としていながらもチャーミングで家族思いの政子を、小池がカラッとしていてユーモアのある演技で作りあげてきた。その集大成ともいえるのが、この演説シーンだ。一つ一つのことばに愛情がにじみ、姉として義時を見、御家人たちをわが子のように見るその目線は、慈悲深くあたたかい。
視聴者からも「政子カッコいい!」「政子様、悪女なんかじゃないよ!」「政子の演説ではっきりわかった。これは家族のドラマだったんだなぁ」といった声があふれ、Twitterでは「#鎌倉殿の13人」がトレンド1位となる反響を呼んだ。次回は12月18日(日)に最終回「報いの時」を放送する。
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