<クロサギ>平野紫耀演じる“黒崎”は「圧倒的主人公」、武田P&那須田Pがキャスト陣の魅力や撮影の裏側を明かす

2022/12/20 15:15 配信

ドラマ インタビュー

『クロサギ』は「“一人じゃないよ”と伝えていく物語」


――脚本を担当された篠崎さんと最終回に向けて脚本を作り上げていく上で、意識したことはありますか?

武田P:平野さんとお会いする前の初期の段階から、篠崎さんとは「クロサギ」は“自分は一人だ”と思っている主人公の黒崎に、周りの人たちが「一人じゃないよ」と伝えていく物語だとは話していました。

ドラマの前半は、その意味をあまり前面に打ち出しすぎずに作ってきたんですが、後半になってくるにつれ、独りで戦っている黒崎に対して周りの人が「一人じゃない」と言葉にせずとも伝えていくようなシーンが増えてきて、それは篠崎さん自身も意識して書かれていたことなのではと思います。

我々も作っていく上で、黒崎の“孤独な戦い”をどう応援してあげられるかというところは、意識していました。

那須田P:氷柱が黒崎に発する「一人じゃない」という言葉は、実はものすごく大事なテーマなんですよね。孤独であるからこそ成り立っているような人生を歩んでいる黒崎だって、「一人じゃない」って言ってくれる人がいないといけないと思います。

世の中には、まだまだ出会ってはいないけど、同じ思いを持った人たちはたくさんいるはず。「私、ぼっちかな」と思っている人も、社会に生きている限りは独りぼっちなわけじゃないと思うので、その独りじゃないということがどういうことなのかという部分も、ぜひ最終回を見て感じていただけたらうれしいです。

ばらばらな小さな思いが、一つになって、力になっていくようなことはあるはずです。そういうことも、登場人物たちのなかに込められればと意識はしています。

劇中で平野紫耀が見せる表情は「“黒崎らしい”と思わせてくれる」


――平野さんが演じている黒崎の魅力はどんなところにありますか?

武田P:最初の頃から、黒崎って圧倒的“主人公”だなと思っています。平野さんが黒崎を演じると華もありますし、行動とかも含めて、本当に全部が魅力的に見えるんですよね。

後半戦にかけてもさらに見たことのない黒崎の顔がどんどん出て来て、驚くばかりでした。それがただ多面的なだけでなく、どの顔もちゃんと「黒崎らしい」と思わせてくれるのが、平野さん演じる黒崎のすごいところだと思います。

那須田P:黒崎というキャラクターを演じてくれた平野くんは、最初からひとつの人格を生きているわけではなく、自分はどういう人なのか分からない状況の中で、人間の中にある多面的なところを面白く演じるということに長けていると思います。

前半戦でも、悲しいシーンの悲しみや人をだましているところを演じている顔、そして氷柱に少し見せる切なさだったり、ちょっとした温かい気持ちを受け取った場面など…。いろんな人間のいろんな側面を瞬時のうちに感じさせてくれるその技量は、後半戦でよりさらに素晴らしくなっていると思います。

――撮影してきた中で、一番印象に残っているシーンを教えてください。

武田P:本当に全シーンが見どころだなと思うので、印象に残っているシーンを挙げるのがすごく難しいですね(笑)。その中でも私が好きなのが、5話で神志名が上海まで黒崎を追ってきた時にお互い言い合いになって感情をぶつけ合うシーンです。

そこは2人とも感情が爆発していました。自分の中で正義というものの整理がつかない葛藤とどうやって戦っていくかという部分で、黒崎も神志名も、確実に今思っている本当の感情みたいなものがすごく出ていて、あのシーンは現場でもとても迫力がありましたし、すごく印象的なシーンだなと思っています。

那須田P:このシーンの2人の表情は、その一瞬、数秒の中に、ストーリーを感じさせてくれるような、微妙な変化があって素晴らしいなと思いました。

他のシーンと違って、お互いの考えは違うけど、それぞれの正義感を元に若い人が感情をあそこまでぶつけ合うシーンはなかなかなかったりするので、これこそ映像作品だなと思います。芝居の力と迫力、繊細さが同居していた大変素晴らしいシーンでした。

武田P:本当はもっと細かくカットが割られていていたのですが、横顔の2ショットがすごく良かったので、この2ショットをたっぷり見せようという監督のこだわりで完成したシーンです。編集上がりで最初は音楽がついてたんですけど、音楽もない方がいいとなり、音楽も外しました。純粋にあの2人のお芝居の力で持ってるシーンだなと思います。