そんな闘いのなか、黒崎が冒頭で明かした思いが、昇華されていった。
シロサギながら黒崎と息の合う白石(山本耕史)、警部補の神志名(井之脇海)や桃山(宇野祥平)らが黒崎の助けとなった。氷柱は手術を終えて眠っている黒崎に、「黒崎は、やっぱり一人じゃなかったね」と語り掛けた。
そして桂木も。実は桂木は黒崎を助けようとしていたことが明らかに。白石が「あえてあいつに近づいて自分を憎ませて、居場所と生きる目的を与えようとした。一人で生きられる、大人になるまで」と問い掛けたとき、「想像力が豊かだな、小説家になれよ」と認めなかった桂木。だが、病室を訪れ、「ここからはお前の人生だ。自由に生きろ。俺を殺したければ、追ってこい」と言って、眠る黒崎の頭をなでた。この言葉は、エールであり、まだその手を離したくないような慈しみを感じるものだった。
桂木が病室を出た後、黒崎は病院を抜け出して氷柱の実家で団らんのひと時を楽しみ、氷柱に送ってもらって空港へ。その描写につけられたナレーションでは、黒崎が氷柱にあてた手紙が読み上げられた。黒崎の氷柱への思い。それに呼応するかのように、氷柱の耳には好きな人と会うときにつけると言っていたピアスが揺れていた。
ラストは6年後。検事になった氷柱と黒崎がすれ違う。互いに振り返るが、そのタイミングはずれていて顔を見合うことはなかった。だが、黒崎の表情にはかすかなほほ笑みが浮かんだ。それは2人が選んだ道を確かに歩んでいるからではないだろうか。
感動も切なさも詰まった1時間。黒崎というキャラクターを魅力的に仕上げた平野の真骨頂でもあった。
タイトルがTwitterのトレンド入りし、「見応えあった」という声が続々と上がるなか、「最後に「黒崎の旅はつづく」とあったことで続編や映画化への期待も寄せられている。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)