「イチケイのカラス」劇場版とSPドラマの前に魅力を振り返る 「HERO」にも相通ずる人間味あふれる名コンビ

2023/01/07 18:30 配信

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リーガルドラマの名作「HERO」を彷彿とさせる?

映画の完成報告会に登壇した小日向文世※ザテレビジョン撮影


型破りな主人公と保守的なヒロイン、そしてその関係性は、同じく月9枠で放送された木村拓哉主演のリーガルドラマ「HERO」を彷彿とさせる。同作のレギュラーメンバーだった小日向文世が出演しているのもその理由の一つであろう。

小日向が演じるのは、イチケイの部長・駒沢義男。30年以上ずっと刑事裁判官一筋のベテランだが、出世コースには縁がない。しかし、実は有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判において、30件あまりの無罪判決に関わっている伝説の裁判官なのだ。

“刑事裁判官の心構え”をまとめた本を自費出版しており、ことあるごとに千鶴へ売りつけようとするのだが、それはハマっているスマホゲームに課金するため。そういう変なところもあるけど、柔らかい雰囲気をまとった彼はイチケイのムードメーカーであり、みんなを見守るお父さん的存在でもある。

中村梅雀新田真剣佑桜井ユキ水谷果穂が演じる書記官たちもそれぞれ癖があって面白い。何だかんだ仲の良いレギュラーメンバーがわちゃわちゃしている姿も、「HERO」と共通する点でもあり、ファンには堪らないのではないだろうか。そんな彼らは、文句を言いながらも捜査に付き合ってくれる検事の城島(升毅)や井出(山崎育三郎)らと共に、“一番いい答え”を見つけるための真実を追い求めていく。

その先に見えてくるのが、希望か絶望かは分からない。だが、みちおは裁判を“人生の分岐点”だと捉えている。起きてしまったことは変えられないが、これからのことは変えられる。だから、裁判に関わったすべての人がそこから前を向いて歩いていける判決を、彼は常に責任を持って下そうとしているのだ。

スペシャルや劇場版には豪華ゲストが出演!


もちろん、そんなみちおをよく思わない人間はいる。最終回で衆議院議員の安斎(佐々木蔵之介)にとって都合の悪い真実を暴いてしまったみちおは、クビは免れたものの、熊本の裁判所に飛ばされてしまった。1月14日(土)に放送されるスペシャルドラマは、その1年後から幕を開ける。

みちおが今回担当するのは、ヤンキーグループの決闘の仲裁に入った青年・諏訪遙人(高橋優斗)が殴られ、意識不明の重体となった傷害事件の裁判。加害者とされた人間は全面的に罪状を認めており、執行猶予付きの判決で収束する事件のように思われたが、不審な点が見つかり、みちおは職権を発動する。一方、イチケイでは駒沢が、“代理お家騒動裁判”と世間から注目を集める、大企業「星積ホールディングス」社員同士の傷害事件を審議中。熊本と東京で起きた、この一見何の繋がりもなさそうな2つの傷害事件に、やがて接点が見えてくるという。北村一輝中村アン堀田真由吉沢悠、高橋優斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、宮世琉弥渡邉美穂戸塚純貴らもゲストとして加わった、豪華なスペシャルに期待が高まる。

一方、劇場版「イチケイのカラス」は、そこからさらに1年後。岡山に異動したみちおは、主婦・島谷加奈子(田中みな実)が史上最年少防衛大臣・鵜城英二(向井理)に包丁を突きつけたという傷害事件を担当することになる。事件の背景には、不審点だらけのイージス艦と貨物船の衝突事故があった。一方、千鶴は裁判官の「他職経験制度」で弁護士となり、みちおの隣町に配属される。 そこで出会った人権派弁護士・月本信吾(斎藤工)とバディを組み、人々の悩みに寄り添う月本に、次第に心惹かれていく千鶴。そんな中、町を支える地元大企業のある疑惑が浮かび上がる。2つの事件に隠された衝撃の真実とは。

さらに9日(月)からは5夜連続で、山崎演じる井出に焦点を当てたスピンオフドラマ「イチケイのカラス~井出伊織、愛の記録~」(夜0:55-1:05ほか、フジテレビ※関東ローカル/FNS系列各局は別途放送)も放送される。映画では、水谷演じる書記官の一ノ瀬と結婚している井出だが、それまでに何があったのかが描かれるという。

映画の完成披露イベントで語る山崎育三郎※ザテレビジョン撮影


なお現在、連続ドラマ「イチケイのカラス」全11話がTVer・FODにて順次無料配信中。ぜひこれらをチェックして映画公開に控えてほしい。

※高橋優斗の高は、正しくは「はしごだか」
■文/苫とり子