民放公式テレビ配信サービス・TVerにて、7月からスタートするドラマで主演を務める坂口健太郎、中村倫也、深田恭子、間宮祥太朗、観月ありさの過去出演作を配信する「俳優ドラマ特集」が実施中。今回はその中から7月2日スタートの新日曜ドラマ「CODE-願いの代償-」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)の主演・坂口健太郎の魅力を改めて振り返る。
原作は、台湾で大ヒットしたドラマ「浮士德遊戲(英題:CODE)」(2016年)、「浮士德遊戲2(英題:CODE2)」(2019年)。「レッドアイズ 監視捜査班」の酒井雅秋とNetflixシリーズ「全裸監督」の山田能龍が脚本、映画「見えない目撃者」の森淳一と「仮面病棟」の木村ひさしが演出を担当する本作は、どんな願いも叶えるという謎のアプリ“CODE”を巡るノンストップクライムサスペンスだ。婚約者の死の真相を追う中でCODEを手にする刑事の二宮湊人を坂口健太郎が演じる。
坂口といえば、6月24日に主演ドラマ「Dr.チョコレート」が最終回を迎えたばかり。放送枠は異なるが2クール連続で、同じ日本テレビのドラマで主演、さらに「Dr.チョコレート」では利き腕を失った謎多きクールな元医者、「CODE」では不審な事故死で婚約者を失ったクールな刑事と、どこか共通点のある役を演じることになった。
しょうゆ顔、ソース顔、ケチャップ顔、砂糖顔など、私たちは人の顔立ちをよく調味料で例えるが、その中でも涼しげな切れ長の目や透き通るように白い肌、全体的にシャープな骨格といった“塩顔イケメン”の特徴を兼ね備え、その代表格として知られる坂口。彼は見た目だけではなく、口当たりはあっさりとしているけれど、素材(=作品やキャラクター)と合わさった時にその旨みを際立てる塩味の魅力を体現する俳優だ。
2015年に「コウノドリ」(TBS系)で自分の力を過信するあまりに周りが見えなくなってしまう新生児科の医師、翌年には「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)で仮面夫婦の両親のもとで育ったがゆえに感情表現が乏しい青年と、未熟なところを残したキャラクターの成長過程を繊細に演じ、高く評価された坂口。
そんな彼の初期の代表作と言えるのが、2017年放送の「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)だ。過ぎ去った日々のタラレバをつまみに酒をあおる独身アラサー女子3人組の迷走を描いた同作。坂口が演じたモデルのKEYはそんな彼女に喝を入れる役どころだった。金髪の美青年というビジュアル面でのハードルを悠々と乗り越え、さらには正論攻撃でアラサーを追い詰めていく毒舌キャラを嫌味なく演じられるのは彼しかいなかったであろう。厳しい口調の中にある優しさ、母性本能をくすぐるちょっとした弱さなど、坂口が体現するKEYの魅力に多くの視聴者が魅了された。
日本テレビ系連続ドラマ初主演作の「イノセンス 冤罪弁護士」(日本テレビ)では、冤罪被害に立ち向かう弁護士・黒川を演じた坂口。黒川は不可能に近いと言われる冤罪事件の逆転無罪判決を何度か勝ち取ったことのある敏腕弁護士だが、生活力にかけており、常に金欠で事務所の物置に住み着いている変わり者だ。
そのため、川口春奈演じる新人弁護士の楓にも呆れられているが、ゆるくてマイペースな言動からは想像もつかない熱い想いを内に秘めている。恋人を殺した罪で逮捕され、獄中で自ら命を絶った幼馴染の無実を信じている黒川。冤罪で苦しむ人があってはならないという確かな信念が滲むシーンではガラリと雰囲気が変わり、目が離せないほどの迫力を見せた。
「35歳の少女」(日本テレビ)では、柴咲コウ演じる10歳〜35歳まで眠り続けていたヒロイン・望美の初恋の相手である結人を演じるにあたり、髭を生やしたワイルドな見た目にイメチェン。この結人にも壮絶な過去があり、元々は小学校の教師だったが教え子がいじめを苦に自殺したことで退職。代行業でその日暮らしを送っているキャラクターだ。望美が好きだった頃の結人とは別人であり、当初は性格も歪んでいた。だけど目を覚ました望美と再会し、自分の過去と向き合う中でその態度も徐々に軟化していく。
坂口はこうした最初と最後で大きく変化する役を演じることが多いが、その変化を唐突に見せないところが彼の実力だろう。スタート時点でどんなにやさぐれていようと、人に対する思いやりがかけていようと、坂口はその人物が持つ良心を巧みに垣間見せる。だからこそ見ている人は安心できるし、ずっとその動向を目で追いたくなるのだ。最後まで目が離せない、これは連続ドラマにおいて必要不可欠な魅力である。なるほど、絶え間なくオファーが続くわけだ。
7月2日にスタートする新日曜ドラマ「CODE-願いの代償-」で演じる湊人もどこかアンニュイな雰囲気を携えている。5年の交際期間を経て結婚する予定だった恋人を突然失い、絶望の淵に立たされる湊人。悲しみを背負った彼が恋人の死の真相を追う中でどんな変化を見せていくのか、今から楽しみだ。
■文/苫とり子
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