続いての“嘘”は、担当編集者の澤田。澤田には既婚者の彼女がいる。つまり不倫。Bar「灯台」で呑んでいた“M”のところにやってきて、「彼女の夫に知られてしまって…」と事情を話し、飼い猫を預かってほしいと“M”にお願いした。
澤田から相談を受けていた“M”は、「お互い面倒がなくていいんじゃない」と軽い気持ちで答えてしまっているので、多少なりとも責任は感じているのかも知れない。
結局、澤田は彼女ともう二度と会わないという一筆を書かされ、慰謝料を支払った。「なんか正直ホッとしました。これで彼女の嘘に付き合わなくて済むので」と、嘘から解放されてホッとした様子。
そしてフクオ。泉から“息子”だと告白され、フクオはそれを受け入れていたが、実はフクオは実の父親ではなく、それは分かっていた。
「本当の父親、俺の友達なんだけど、どうしようもないヤツなんだわ。だけど、アイツの母親がそういう嘘をついたなら、俺が父親になっちゃおうかなって思って」と、喫茶店で“M”に明かすと、驚いた“M”は「そんな嘘ついて大丈夫なの?」と心配するが、「誰かが代わりになれるならいいじゃん。その嘘には値打ちがあるよ。その嘘にずっと付き合うからさ」と返すフクオ。嘘を嘘だと分かっていながら、その嘘を受け入れる。それはフクオらしい嘘に対する対応のような気がする。そんなフクオに「もうちょっと誰かの嘘に付き合ってあげたら? それはそれでうれしいじゃない」と言われた“M”は何か気付きがあったのではないだろうか。
“F“は姉から「元気? お金のことはもう良いから。心配なので連絡ください。」というメッセージを受け取り、会うことに。
「半年も何してたの?」と姉に聞かれると「パッーっと散財して、怖くなって請求額確認して、また高級ホテル泊まって、求人情報検索して、みたいな。何やってたんだろうね。たくさんお金使って時間潰したけど、なんか苦しかった」と“F”は告白。
「ごめんね」と姉に謝る“F”。姉の方も時間がたって冷静になったような印象を受ける。“F”は家のリフォーム代を手渡そうとするが拒否した。
“F”は「後悔しない? あの時受け取っておけばって」と祖母に言われた言葉をそのまま姉に投げかけたが、姉は「後悔しないと思う。もし受け取ったらあんたが私を裏切ったことを忘れちゃいそうだから」と。
一見すると冷たい言葉に聞こえるかも知れないが、妹とのつながりをこういう形でも持っておきたいという姉の思いなのかも知れないと思った。それに、姉も一つ嘘をついている。リフォーム代全額ではないと思うが、“M”からカツアゲするように数十万円受け取っていることを“F”には言っていないはず。
そのタイミングで街頭ビジョンに“M”の姿が映し出され、それを見て姉妹で爆笑している姿を見たら、もうわだかまりがないように感じる。
浅草の演芸場でマジックショーを見ている“M”。見ている客は3人。そんな中、「誰かお客さんに次の演目のお手伝いをしてもらいましょう」とマジシャン(嶋田久作)が呼びかけると、一人はお手洗いに行くためなのか立ち上がり出ていった。もう一人は眠ったまま。必然的に“M”が手伝うことになった。
手伝ったマジックは箱を使ったもの。身動きできない状態の中、演芸場のドアが開き、一人の客が入ってきた。それが“F”だった。久しぶりの再会なのにシュールなシチュエーション。“F”は笑いを抑えることができなかった。
この後、“F”は姿を消した理由を正直に話すのかも知れないし、嘘をつくかも知れない。しかし、フクオの言葉「誰かの嘘に付き合ってあげたら」「その嘘には値打ちがあるよ」を聞いた後なので、“M”も“F”の言葉を本当でも嘘でも受け入れてあげるのではないだろうか。
“F”との再会を果たし、物語もいよいよ終盤へ。以前とは違う関係性になっていると思うので、2人がどういう決断をするのか気になるところだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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